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不確実な時代を乗り越える「マーケティング戦略の大転換」― 突破口はゼロパーティデータとロイヤル顧客(AD)

マーケティング戦略「計画通り」はわずか13% 世界の先進ブランド事例に学ぶアフターコロナ経済への備え

 チーターデジタル ジャパンのWebセミナーシリーズ「マーケティング戦略の大転換」、第2回は米チーターデジタルのGlobal CMOであるリチャード・ジョーンズ氏を迎え、5,000人規模の消費者調査で得た結果、先進的なブランドの取り組みを学ぶ。COVID-19企業が独自のデータベースを築きつつある消費財業界や、スポーツや外食といった厳しい局面に立たされた業界の動きとは。

Webセミナー「マーケティング戦略の大転換」第2回の様子は、以下の動画でご覧ください。

「マーケティング戦略の大転換」Webセミナーシリーズ【第2回配信】トレーラー
本編はこちらから

マーケティング戦略、「計画通り」はわずか13%

 次世代マーケターのためのコミュニティ「0 to Loyal~ゼロ トゥ ロイヤル」のWebセミナー、第2回は米チーターデジタルのグローバルCMOであるリチャード・ジョーンズ氏をゲストに迎えた。

 ホストを務めるチーターデジタル ジャパン 副社長 兼 最高マーケティング責任者の加藤希尊氏に紹介されたジョーンズ氏。初めのトピックとして、新型コロナウイルスがグローバルブランドのマーケティングに与えた影響について、Econsultansyが3月後半に実施したマーケターへの調査を提示した。それによると、「マーケティングキャンペーンが計画通りに進んでいる」と答えたのはわずか13%に留まった。

ジョーンズ氏は調査結果を基に、COVID-19がマーケティングに与えた影響を解説した
ジョーンズ氏は調査結果を基に、
COVID-19がマーケティングに与えた影響を解説した

  一方で66%が「アウトブレイク後に展開できるマーケティング手法を考えている」と明るい展望を述べていた。「この姿勢は興味深い。私たちは今、イノベーションの時代にいる」とジョーンズ氏は期待を語った。

消費者が自ら共有してくれるデータこそ、真の資産

 続いて提示されたのは、チーターデジタルが2~3月に世界6ヵ国の4,921人に実施した消費者調査だ。この分析からは、前提として「COVID-19以前から消費者の態度は変わりつつあった」ことがわかったという。中でも大きかった変化はプライバシーに関する対応だ。

日本では26%、米国では37%の人が定期的にクッキーデータを削除していた。
アドブロッカーの使用率は日本では17%、米国では30%

 この結果から、企業都合の情報収集は、大きな壁にぶつかりつつあることがうかがえる。

 一方ジョーンズ氏は、消費者は何らかの価値との交換であれば、ブランドにデータを渡すことに積極的だと指摘する。調査によると、日本の消費者の43%は、価値交換の見返りとしてブランドに直接データを共有することに満足している

 「他国の調査を見ても、ロイヤルティプログラムへの参加意向が増していることが明らかです。消費者がみずから企業に共有するデータこそ、真のマーケティング資産になるのです」(ジョーンズ氏)

動画本編ではスライドに掲載された各要素について、詳説している
動画本編ではスライドに掲載された各要素について、詳説している

 ではこのような変化に、ブランドはどのように対応すべきなのだろか。セミナーでは海外における様々な業界の先進事例が紹介された。

動画本編では、消費者がオファーを受け取りたいチャネルやソーシャルメディアへの信頼度合いといった、消費者意識の変容を詳しく解説。視聴はこちらから!

ポイントプログラムを活用し共感を生む:ケロッグ

 消費財業界の例としてジョーンズ氏がまず挙げたのは、ケロッグだ。米国の消費財業界では、企業がその顧客とともに慈善活動を支援するケースが多く、その過程で生まれる共感が信頼の醸成につながっているという。

 ケロッグでは、自社のロイヤル顧客のポイントプログラムを活用。コロナ禍によるロックダウンで解雇される人が増える中、困窮家庭へ食料を提供するフードバンクの活動に自社から寄付をした上で、顧客が有するポイントも寄付できるように対応した。直近のキャンペーンでは、顧客からの寄付は10万ドルを超えたそうだ。

  消費財業界ではほかにも、様々な取り組みが生まれている。酒造メーカーのアンハイザー・ブッシュ・インベブは、ロックダウンによって卒業式の中止という憂き目にあった学生のために、バーチャル卒業式を開催。スターを招いてインタラクティブな体験を提供し、好意的に受け入れられた。このように消費者と直接つながり、ロイヤルティを高めた例がすでにいくつも生まれているのだ。

スワイプやタップ…スマホでの自然な行動でニーズを把握

 ジョーンズ氏はさらに消費財業界のD2C事例やECの成長に触れながら、先進的なブランドは、COVID-19の発生以前から既に『顧客が誰であるか』を捉えようと動いていたと解説する。

 「小売業者を介した商品販売に留まっていた過去に対して、今や消費財ブランドは独自のロイヤルティプログラムを導入し、マーケティングデータベースを構築し始めています。具体的には、消費者がスマートフォン上でごく自然に行うスワイプやタップ、チャットや撮影といった行動を通して、動機やニーズといったデータを直接得られるよう工夫を重ねているのです」(ジョーンズ氏)

 明確な同意がない状態で、サードパーティのトラッキングクッキーやデータ購入を通じて消費者を“詮索”する行為は、長期的な関係構築においてマイナスだ。消費者は、自らデータを提供したつもりがないのに過度なパーソナライズが行われていることに、不気味さを覚える。その結果、自分のデータを利用しているブランドに対して不信感を抱いてしまうのだ。こうした点からも、ゼロパーティデータの取得と活用の意義が増している。

動画本編では、外食産業の取り組み事例も紹介しています。店舗の営業が制限される中でも、顧客とつながり続けるための仕組みとは?

スポーツ業界では「ファンを知る」が優先課題に

 消費者の期待の変化と、デジタルトランスフォーメーションの加速がマーケターにどのようなインパクトを与えるのか、また保有すべきデータや望ましいコミュニケーションについて、動画では続けてスポーツ業界や外食業界の豊富な事例を交えて詳しく解説している。

 英国のプロサッカーチームであるウェストハム・ユナイテッドFCは、アプリでファンに理想のチームメンバーを考えてもらうキャンペーンを実施。心理ロイヤルティを高める目的はもちろん、デジタルトランスフォーメーションを加速するための施策でもある。

 「ファンがどんな人かを知らなければ、マネタイズすることはできません。データベースに数千万人のファンのインサイトを集めたうえで、グッズの開発・販売を行う。スポーツ業界には、ファンと直接の関係性をもつことで、未知のファンを既知のファンに変え、データベース化していくことが求められています」(ジョーンズ氏)

アフターコロナ経済で勝ち残る5ステップ

  ジョーンズ氏は、セミナーの終盤、米国のとあるレストラン運営会社の最高顧客責任者との会話を紹介した。彼は「COVID-19は、5年分のDXを数週間のうちに加速させた」と表現したという。ロックダウンが緩和され、景気が回復していく過程で生き残るのは、消費者の期待に添うことができるブランドである。ジョーンズ氏は、そのためにマーケターが行うべき5つのステップを提示した。

マーケターが行うべき5ステップ
マーケターが行うべき5ステップ

 ジョーンズ氏の言葉を受け、加藤氏は、すべての業界において未知の顧客を既知の顧客にする活動に注力すべきと強調。その先にあるクロスチャネル対応、ロイヤル顧客化を視野に、デジタルトランスフォーメーションを加速させる必要があることを示唆し、セッションを締めくくった。

記事での未公開トピックを含む、動画本編を公開中!こちらからご視聴ください。

Webセミナー第2回「マーケティング戦略の大転換」動画本編の内容
1.変化する消費者の態度
2.消費財業界の先進事例(ケロッグなど)
3.スポーツ業界の先進事例(アーセナルFCなど)
4.外食業界の先進事例(ドナトスなど)
5.マーケターに求められる5ステップ

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/06/26 11:00 https://markezine.jp/article/detail/33559