広告配信エンジンに独自のアルゴリズムを採用
――まずは、今回の取り組みで阪急交通社が活用した「RTB House」の広告媒体としての特徴や強みを教えてください。
吉倉:RTB Houseの最大の強みは、独自開発したエンジンのアルゴリズムにディープラーニングを活用している点です。サイトに設置したタグから得られた情報をもとに、クリエイティブの生成や、最適なユーザーへの広告配信、入札金額の決定などを、すべてディープラーニングを用いて行います。
ご利用いただいているお客様からは特に、この独自のアルゴリズムを用いることで今までリーチできていなかった層にリーチできる点を評価いただくことが多いです。
高橋:市場に参入した当時、我々は後発組で、既に国内には様々なDSPサービスが存在していたため、今さら食い合いになるだけでは? との声もいただきました。
それでも新しいユーザーを発見・獲得できる点を評価してもらえているのは、おそらくそもそもの広告配信の概念が他媒体と違うからだと思います。他媒体でCPAが合わないと切り捨てたであろうユーザーが、RTB Houseでは獲得できると判断されるケースが良く起こるんです。実際に配信先のリストを精査してみても、RTB Houseだけ全然毛色の違う面に配信されていたりするので、それも強みになっているのではと思っています。
――Cookie規制により、従来通りのリターゲティング広告はできなくなることが予想されますが、そうしたリタゲ領域の近年の動向を踏まえて、アップデートされていたりするのでしょうか。
高橋:リターゲティング広告だと、どうしてもファネルの最下層のユーザーに対して来訪を促しコンバージョンさせることが主な目的になりますが、「もっとアッパーファネルの層を取り込んでいきたい」というお客様からの要望を受け、昨年2月に新たな製品をリリースしました。
特徴として大きいのは、カテゴリAIという機能を取り込み、パブリッシャー側の配信面カテゴリからユーザーとマッチさせる仕組みを構築している部分です。たとえば旅行会社のお客様であれば、ホビーやトラベルという領域の記事を読んでいるユーザーとのマッチ度が高いので、そういう媒体や関連領域のカテゴリに広告配信していくような手法を取っています。これはCookieが使えなくなった世界を想定してのことです。
特定の趣味や興味を持つユーザーに訴求する「インタレストマッチ広告」に近いかもしれませんが、我々のなかでは「カテゴリAI配信」と呼んで、カテゴリレベルでユーザーへの配信を可能にすることで、フルファネルに支援を行うことを目的としています。
CPA保証のモデルが活用を後押し
――阪急交通社でRTB Houseの活用に至った理由として、どのような背景や狙いがあったのでしょうか。RTB Houseを選ばれた理由についてもお聞かせください。
佐々木:RTB Houseの導入を開始したのが2年ほど前のことになります。その前はダイナミック広告を色々と試していたのですが、なかなかCPAの折り合いがつく媒体がなかったんです。
阪急交通社のメイン商材は「海外・国内の旅行パッケージ」で、コアターゲットとしては高年齢層となります。そのため、たとえばSNS広告などスマホユーザーがメインの媒体だと、CVが貯まらなくて成果が上がらない状況が続いていました。
佐々木:最終的にCriteoだけで配信していたのですが、次なる収益の柱を増やしたいと探していた中で、RTB Houseとの出会いがありました。導入の決め手となったのは、“CPA保証”の成果報酬型課金モデルを持っていたことです。
導入前まではこれまで失敗してきた媒体も多かったため、社内含め私自身も懐疑的でした。しかし、CPA保証のメニューがあることで、上層部の承認が取りやすかった点は大きかったですね。現在は、CriteoとRTB Houseを大きな柱として使いつつ、他にもいくつか媒体を用いて運用を行っています。