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不確実な時代を乗り越える「マーケティング戦略の大転換」― 突破口はゼロパーティデータとロイヤル顧客(AD)

【2021年度版】5,000人調査から見えた消費者のリアルと、ロイヤルティ醸成の先進事例

 チーターデジタル ジャパンのWebセミナーシリーズ「マーケティング戦略の大転換」、第8回では、米国で数多くのロイヤルティマーケティング支援の実績を持つAscendant Loyalty Marketing社の創業者2名が登壇。チーターデジタルが消費者5,000人に対して行った調査の結果と、ロイヤルティで売上を伸ばした企業事例を交ながら、議論が展開された。

調査で浮かび上がった消費者とブランドの関係性

↓「マーケティング戦略の大転換」第8回のダイジェストはこちら↓

「マーケティング戦略の大転換」Webセミナーシリーズ【第8回配信】トレーラー
本編はこちらから

 チーターデジタル ジャパン 副社長 兼 最高マーケティング責任者の加藤希尊氏がホストとなり、Ascendant Loyalty Marketing社の創業者であるDavid Slavick氏、Jay Weinberg氏を迎えた本セミナー。両氏は25年にわたりロイヤルティ戦略に向き合い、世界の企業を支援してきたエキスパートだ。本記事では2回にわたって行われたセミナーのダイジェストをお届けする。

 はじめにロイヤルティの重要性を裏付けるデータとして、チーターデジタルが6ヵ国5,000人以上の消費者に対して実施した調査結果が紹介された。

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 調査からは、顧客から選択される上で企業の倫理的な取り組みが重要な要素になっていることが読み取れた。グローバル全体の消費者のうち58%は「倫理上の理由(環境、企業、政治的価値)でお気に入りのブランドを乗り換えている」と回答している。

 加えて64%の消費者は「信頼できるブランドにより多くのお金を払う用意がある」と答えている反面、81%が「より安くて便利なブランドがあれば簡単にスイッチする」とも答えており、消費者との関係性とブランドの提供するベネフィットの両輪が大切なことがわかる。

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チーターデジタルと調査会社のEconsultancyが実施した調査の結果を、ebookにて公開中。上記QRコードまたはダウンロードページよりご覧ください!

 そして加藤氏は、もう一つ重要な事実を紹介する。「実に3割の消費者がどのブランドにもロイヤルティを抱いていないと回答しています。別の視点から考えると、顧客ロイヤルティに取り組んだ際の伸びしろをあらわしていると言えるでしょう」と見解を述べた。

エキスパートたちはどう読み解く?

 一連の結果を聞いたDavid氏は、「自分がロイヤルティを抱く会社に対して責任ある行動を求める消費者が増える一方、企業もそうした消費者に敏感になっています。この傾向は今後も強まり、プログラムの設計に大きな影響を与える要素になるでしょう」とコメント。Jay氏は、ロイヤルティ戦略の今後について予想を語った。

 「従来のロイヤルティ プログラムに多かった、購入代金の見返りにポイントを付与するようなものではなく、パーソナライゼーション、つまり1対1でキュレートされたサービスや体験を提供することが求められるでしょう。そのためにも、ブランドが一方的にメッセージを発信するのではなく、許諾を前提とした人間的な対話を実現する必要があります」(Jay氏)

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動画Part1本編【4:06~】では、調査の結果をさらにくわしく説明しています。こちらからご視聴ください!

マインドシェアを作り、ロイヤルティを高め続けるパタゴニア

 顧客ロイヤルティに対する注目は高まっている一方、それがどのように売上に寄与するのかについては、情報があまり出回っていない。そこで本セミナーでは4社の事例を基に、ロイヤルティが売上や利益にもたらした成果が紹介された。

 最たる例として取り上げられたパタゴニアは、過去30年間に渡って売上の1%を自然環境問題の保護・保全に還元したり、持続可能性に配慮した製造方法を採用することで、顧客から信頼を得ている。「パタゴニアの製品を身に着けている人は誇らしげです」とDavid氏が言うように、ブランドに対する好意度が形成されている。

 それと同時に、ロイヤルティ プログラムを通じたパーソナライゼーションとエンゲージメント構築、つまり顧客を本当の意味で大事にし、プログラムの一員として大切に扱うことによっても、好意度を高めることに成功している

 「パタゴニアのように好意度が高まれば、顧客のマインドシェアも高まります。そうなれば顧客は自ら進んでブランドの支持者となり、インフルエンサーとして情報を発信してくれる。そうして売上が生み出されます。

 以前はプログラムをブレイクさせるのに年単位の時間がかかった印象ですが、近年は様々なツールや機能が登場しているため、それらを活用すればより短期間で売上への効果が見られるようになっています」(David氏)

 加藤氏は「マインドシェアが獲得できるようにロイヤルティ プログラムを徹底する。それが他社との差別化につながり、顧客の好意度や支持が生まれ、売上に寄与していく。この循環が重要なのでしょう」とこの事例から学べることをまとめた。

アメリカン・イーグルは顧客層を転換し、売上1億ドル増加

 ロイヤルティ プログラムによって年間売上が前年比で1億ドルも増加したケースもある。米国のファッションブランド、アメリカン・イーグル・アウトフィッターズが行った「オールアクセス パス プログラム」の事例だ。同プログラムによってわずか1年で、メイン顧客層をより収益性の高い13~34歳の層へシフトさせ、生涯価値の向上に成功した。

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 実現の過程は平坦な道ではなかった。同社がどんな課題感からプログラムに取り組んだのか。どのように効果を測り、成功に導いていったのかについては、動画Part1の本編【14:26~】をご覧いただきたい。

ロイヤルティを醸成する4つの行動

 加藤氏からロイヤルティマーケティングを推進するマーケターが知っておきたいフレームワークについて聞かれたJay氏は、下の図を用いて解説した。

 顧客ロイヤルティを向上させるために重要なのはパーソナライゼーションであり、それは顧客を中心としたロイヤルティエコシステムを作ることを意味している。ポイントとなる行動は、「1人ひとりの顧客を認識すること」「データを用いて顧客について記憶すること」「意味のあるメッセージを発して顧客と関わること」「顧客情報や履歴に基づいて適切な商品やサービスをレコメンドすること」の4つだ。

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 「マーケターはこの4つを、デバイスやチャネルを超えた主要なタッチポイントを通じて提供していきますが、データ分析と機械学習の結果をリアルタイムに活用することで、素晴らしい顧客体験の提供は可能になります。ちょうど車輪の潤滑油のようなもので、すべてが連携して動くことで、顧客体験が向上し、エンゲージメントを高め、生涯価値を増大させるのです」(Jay氏)

ロイヤルティの改善と計測に使える指標は?

 セッションPart2では、ロイヤルティの計測・改善方法が取り上げられた。Jay氏によれば、最もわかりやすい方法は、KPIの変化に注目すること。一般的なKPIとしては、顧客1人当たりの売上・訪問数、マージン、NPS(ネット プロモーター スコア)、市場調査結果による顧客満足度、定着率、コミュニケーションやプロモーションへの応答率などがある。

 他にも会員登録のモニタリングやメンバーのエンゲージメント率と離脱率に着目するなど、ロイヤルティを計測する方法には様々な蓄積がある。具体例については、動画Part2本編【6:21~】をご覧いただきたい。

 続いて紹介されたのは、1,000以上の小売店舗を展開する、米国の健康・美容ブランド「Ulta Beauty」の取り組みだ。100ドル使うと3ドルが還元されるというシンプルなプログラムながら、売上の95%をロイヤルティ プログラムの会員が占めており、良く機能していることがうかがえる。その背景には、会員になるハードルが低い上に、非会員が製品を購入するときに比べてお得感が非常に大きいこと、還元されたポイントは同社が提供するヘアサロンなどその他の美容サービスにも利用でき、美しさを追求する顧客にとって有益なことがある。さらに同社は、得られた知見を活用してプライベートクレジットカードを発行。自社ブランドの経済圏を一層強めている。

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 動画Part2の本編【17:30~】では、顧客視点を徹底したプログラムの構成で会員規模を広げた「Famous Footwear」の事例紹介とともに、そしてマーケットのカバレッジがそれほど広くないブランドの場合、こうした手法をいかに適用できるかをディスカッションしている。

この先、日本のロイヤルティ戦略はどう変わる?

 セッション終盤には、未来の日本のロイヤルティ動向について話が及んだ。次の図には、米国と日本のロイヤルティの現状と、それぞれの違いがまとめられている。

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 たとえば、日本ではリワードプログラムよりも製品やサービスが安心して購入できること、利便性が高いことのほうが遥かに重視される傾向があるが、米国でそれを上回るのは優れた商品・サービスだけだ。

 また、米国のほうがプログラムで高い価値が提案されていたり、プログラム自体の普及度が高いという状況も影響しているだろうが、米国の顧客と比べて日本の顧客は、マーケティング活動に自身の情報が使用されることに対し抵抗を感じるという違いが見られる。

 「顧客の準備が整うことを待つ必要があり、移行に時間はかかるものの、日本のプログラムは変わる必要があるでしょう。日本企業は取引ベースのロイヤルティを超えた真のロイヤルティを推進すべき時を迎えています。それには当然、データとテクノロジーの活用が欠かせないものとなるでしょう」(Jay氏)

 最後に加藤氏から「これからのステップとしてマーケターが踏み出すことのできる小さな一歩はどのようなものか?」という質問が投げかけられると、David氏は次のように見解を語った。

 「他社と自社のブランド・サービス・店舗を差別化する、ポイント還元以外のメリットを分析することです。数パーセントのポイント還元をしたところで、競合に追いつかれてしまいます。顧客を本当の意味で大切にすることにつながる事柄は何か。それを見つける必要があるのです。

 まずはプログラムの設計と将来のビジョンを練って、魅力的なプログラムを再設計してみましょう。重要なのは、プログラム設計を行う際、調査などを通じて実際の顧客だけでなく見込み客あるいはライバル会社の顧客からもフィードバックをもらい、自社がやろうとしていること、成功させようとしているビジョンを共有することです。

 また、ロイヤルティを上手く働かせるためには、顧客のより深い情報を得られるゼロパーティデータの存在もより重要になってきます。ゼロパーティデータを収集、活用して顧客理解を深められれば、より顧客満足の高い体験が提供できるようになり、LTVを向上させるでしょう」(David氏)

2回分のセミナー動画を公開しています。ロイヤルティ戦略の推進、改善にお役立てください。

「ロイヤルティ マーケティングで1億ドルの売上を上乗せするには?- 4つの海外事例から学ぶ、ブランド経済圏の拡大方法 -」視聴ページ

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/09/13 11:00 https://markezine.jp/article/detail/36925