「自分モテ」を大事にするZ世代
女性向けメディアMERYのチーフディレクターである奥松氏は、Z世代の傾向を「大衆からのモテよりも自分モテを大事にする」と表現。
現在の30代から40代の女性が高校生から大学生だったころは、とにかくモテ至上主義で愛されファッションや愛されメイクが流行。雑誌などでも“春のめちゃモテスタイル”といった特集があり、とにかくモテ市場主義の時代を過ごしていた。
対してZ世代は、自由に楽しむことを大切にし、自分自身の骨格や体型などに合わせた、似合わせファッションに、似合わせメイク。自他ともに愛されるよりも愛したいという傾向が強くなっている。
この思春期をどのような価値観で過ごしてきたかは、以降の人生の価値観にも大きく影響してくる。奥松氏は「今のZ世代は、“自分がどうしたいか”といった部分をすごく大切にしている」と語った。
実際Z世代の女性に、自分たちの世代を表現する言葉に関するアンケートを行ったところ、「自分、自分らしさ、自己」という言葉が圧倒的に1位となった。
「実際にMERYのInstagramのコンテンツも“自分に似合うものを見つけるコンテンツ”が非常に人気です。たとえば自分の体のラインから似合う服装を見つける『骨格診断』や、自分の肌の色味から似合う色を見つける『パーソナルカラー』によるコスメの選ぶ方法などが人気のコンテンツとなっております。これらも“似合わせ”から来ている流れだと考えています」(奥松氏)
Z世代の価値観から見る、プロモーションの広まり方
これらの特徴を奥松氏は「自分アップデート世代」と表現。30代・40代の世代と比べた変化を以下の画像で説明した。
プロモーションを通じた同世代への広まり方も変化している。
「これまでは、理想のモテや理想の家庭などといった、企業が用意した理想のストーリーを、テレビCMや雑誌の記事広告で見る。そして、広告を見た100人のうち30人に響き、1回ずつ購入するぐらいで『世の中では響いている』と捉えられていたかと思います。
今は、100人中の1人に熱狂的なファンになってもらうことがプロモーションのカギとなってきています。さらに、その1人が周りの30人に『これめちゃくちゃ好きなんだよね』『すごくおすすめなんです』などと布教していくことで、より濃度の高いコミュニティが形成されると考えています」(奥松氏)
結果として100人中30人にファンになってもらう形は同じだが「濃度が全然違う」と奥松氏は語った。