MONOLITH AOYAMA認知拡大のため、交通広告を活用
MarkeZine編集部(以下、MZ):まずはメトロアドエージェンシーとMONOLITHのご紹介をお願いします。
藤盛:メトロアドエージェンシー(以下、メトロアド)は東京メトログループの総合広告会社です。東京メトロの空間を中心とした広告媒体やイベントスペースを運用しながら、広告代理業の機能も備えています。東京メトロは、銀座や表参道などのブランド価値の高い駅を有しているため、首都圏を代表する都心部のビジネスエリアやショッピングエリアを行き交う人々へリーチできる広告媒体を数多く取り扱っています。
桒田:MONOLITHは、今年創業104年目のランドセルメーカーであるセイバンが展開するバッグブランドです。現在セイバンはランドセルの「製品」と「ターゲット」の2軸でビジネスを多角化させています。MONOLITHはセイバンが培ってきたものづくりの精神を受け継いでいます。現在MONOLITHは直営店、ECでの販売を中心に、全国のセレクトショップでもお取り扱いいただいております。
藤盛:今回セイバン様には、2022年7月にオープンしたMONOLITH AOYAMAの告知で、東京メトロ表参道駅の「柱巻広告」、「表参道プレミアムセット2」という大型ポスターと「駅看板」を掲出していただきました。
藤盛:今回はどのような戦略のもとで交通広告の出稿を決めましたか? セイバン様はランドセル事業では、タレントをキャスティングしたテレビCMやWeb広告を展開されていますが、MONOLITHは大々的な広告やプロモーションを行っていない印象です。
桒田: MONOLITHはターゲットとコンセプトを深く突き詰めたブランドです。そのため、従来のマス的なアプローチは控えています。一方で、成長のために認知を広げる必要があります。MONOLITH AOYAMAはオープン以来多くの方々にお越しいただきましたが、私たちの予想よりは下回っている状況でした。ならば店舗近くの表参道駅に看板を出してみようと考えました。新生活に向けたアイテムを求める年度替わりの3月に出稿し、効率的に認知を広げることを狙いました。
来店客数が約2.5倍、継続的な効果も期待以上
MZ:出稿目的のお話が出ましたが、交通広告はどのような目的で出稿されることが多いですか?
藤盛:店舗誘導・アプリDLなど様々ですが、店舗やブランドの「認知」、新商品の「リリース」などのリーチ目的が多いです。MONOLITHのように駅をターゲティングするケースもあれば、車両メディアを活用して不特定多数へリーチ、と訴求目的に合わせた媒体で出稿されています。
リアルな空間で表現ができるため、その場で広告を見ることや体験することの“おもしろさ”を演出できる点も特長です。また、移動中はボーっとしたり、スマホを操作されていることが多いのですが、その時になんとなく繰り返し目にすることが多いと、自然と記憶されていきます。たとえば、朝に新宿駅で目にした広告を昼に渋谷駅で見た時「あ、この広告は朝に見たな」と記憶しています。無意識のうちに刷り込まれるため、中長期での顧客シェアへのインパクトが期待できます。購買やサービス利用の促進はもちろん、ブランド想起などのマインドシェアの向上も図れます。
MZ:交通広告は自然な出会いが演出できますもんね。
桒田:確かに広告を見た方からは「こんなお店あったんだ」という声が聞こえてきます。移動中に広告を繰り返し目にすることで、気づかないうちに記憶されているのかもしれません。
藤盛:そうですね。ちなみに、当初目的とされていた認知拡大は達成されましたか?
桒田:来店客数が約2.5倍増えました。「駅の広告を見て来店した」と仰るお客様が多いです。しかも一過性ではなく、出稿後数週間にわたり好調が続いています。継続的な効果は期待以上ですね。加えて、ファッション感度の高い方々がSNSなどで話題にしてくれた点も良かったです。
交通広告は事前の仮説立てが重要
藤盛:交通広告は事前の仮説立てやストーリー設計が非常に大切です。最近は掲出中の運用が効くデジタルサイネージも増えてきていますが、鉄道系の交通広告はポスターや看板などのアナログ媒体が6~7割を占めています。クリエイティブの差し替えはできるものの、事前にタイミングを決めておく必要があります。
桒田:MONOLITHの場合は、店舗の近くに交通広告を出稿することで認知拡大と来店を促せるのではないかと仮説を立てました。そのため、看板の掲出場所は表参道駅内でもピンポイントで指定しています。またMONOLITH AOYAMAの世界観を伝えるため、チーム内のブランディングディレクター・アートディレクターと議論を進めながら表参道駅ユーザーに合うクリエイティブを柱巻、ポスター、看板とそれぞれ制作しました。丸の内にも店舗があるのですが、お客様の雰囲気や購入される商品が異なるため、「表参道に合うもの」と「広告の連続性を意識したストーリー」を考えました。
MZ:プランニング時のデータ活用が重要そうです。どのようなデータを参考にするのでしょう?
藤盛:移動者の特性や見込めるリーチ数は可視化できます。実際の駅構内の視察と合わせることで、プランニングのヒントが得られます。たとえば当社の東京メトロユーザーの行動DNA分析では、表参道駅の来訪者は駅を基点に半径1km以内を徒歩で移動することが多いです。私もMONOLITH AOYAMAを訪れた時、ランチをするためにぐるぐる回っていました(笑)。また、女性はリアルな購入体験を求める傾向が高い一方、男性はECを利用する傾向も見られます。これらのデータをもとに、男性のお客様にはウィンドウショッピングを楽しめるような設計にしたり、ECでスムーズに購入できるようなPOPを設置したり、といったストーリープランニングも可能となります。
交通広告は計測が難しい!?
MZ:交通広告は効果計測が難しいとも言われますが、その点はいかがですか?
藤盛:位置情報サービスの普及により、アクチュアルのリーチ数などはレポーティングされるようになってきています。スマホの捕捉からECや決済アプリと連携したり、広告効果計測ツールで計測ロジックを作り、コンバージョンまで計測しているケースもあります。最近はビュースルーコンバージョンを指標として、交通広告・OOHを高く評価してくださるクライアントも増えてきています。
また、位置情報サービスを使わずとも効果計測はできます。特に日用消費財の小売などと比較して、1日の来店数が少ない店舗形態の場合、来店時のアンケートや店員によるヒアリング集計の方が有効です。MONOLITH様はどうされましたか?
桒田:MONOLITHはお客様への接客をしっかり行うため、会話の中で自然と来店経緯が話題に出ている様子です。現場のスタッフも広告効果を体感し、次の改善案も考えてくれています。
交通広告はネットで買える時代
MZ:交通広告はデジタル広告に比べると少々敷居が高いイメージも持たれていますが、その点はいかがお考えですか?
藤盛:確かに「1駅1枚のポスターは数万円で掲出できるんだよ」と友人に話すと、びっくりされます。取扱可能な代理店が限られていることも、なかなか身近に感じられない理由かもしれません。
当社では交通広告をもっと身近に感じてもらうため、オンライン上でも検索・購入できる「アドターミナル」を展開しています。Twitterでは日々情報発信し、DMで質問も受け付けています。セイバン様も今回は広告会社経由でなく、アドターミナルからお申込みいただきましたよね?
桒田:はい。当社には交通広告のノウハウがなく、調べる中で担当者が「アドターミナル」を見つけてきました。どのような広告を出せるかも予算感もわかりやすかったですし、スピーディーに話を進めることができました。
藤盛:まさに、当社の理想の使われ方です!(笑)
「お客様の期待以上」を提供していきたい
MZ:桒田さんは今後も交通広告を継続的に出稿されますか?
桒田:一度成功すると、短絡的に継続しがちですが、段々と効果が薄くなると考えています。ブランドの成長に合わせて、最適なクリエイティブで出稿していきたいです。
藤盛:そうですね、固定観念にとらわれず、最適なタイミングとクリエイティブでご出稿いただきたいです。
MZ:そんな桒田さんにお薦めできる「お客様の期待を超える」ための出稿アイディアを藤盛さん、お願いします。
藤盛:意外と知られていないのですが、ピールオフ広告という広告媒体を使ったサンプリングや、商品やオブジェなどの展示も可能です。たとえば、MONOLITH様ですと「バッグをそのまま展示」する広告も面白いと思います!
MZ:最後に皆さんの今後の展望を伺えますか?
桒田:お客様が期待するものの先を見据えながら成長していきたい。その手段の1つに広告があると考えます。お客様が期待しているものの先は何かを考えながら、媒体を選んでいきたいですね。
藤盛:交通広告の良さを伝え、ビジネスプロセスを透明化していくことが我々の責任だと考えています。また、広告ビジネスは取引に複数社が入ることが多いです。私のようなメディア担当とクライアントは距離が離れてしまいがちですが、もっと交流を図っていきたいです。
そして、身近に感じていただくとともに「見る」だけでなく、リアルな空間で「体験する」価値も感じていただける交通広告を開発・PRしていきたいです。
交通広告の情報収集・購入をオンラインで!
メトロアドではオンライン上で交通広告の検索・購入ができる「アドターミナル」を提供しています。エリア別の予算や広告の選び方、掲載までの流れなどの情報もこちらでご覧いただけます。交通広告が気になった際に、ぜひご活用ください!