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2024年度の消費者トレンド予測—生活者の消費行動とメディア利用の変化—

2023年度は「安さ納得」や「利便性」重視に NRIの分析からわかった消費とメディア利用の動向

 近年、不安定な社会情勢とともに慌ただしく変化している消費者の行動パターン。2024年度を迎えるにあたり、改めて知っておくべき消費およびメディア利用の傾向とはなんだろうか? 本連載では、野村総合研究所(以下、NRI)のコンサルタントが自社で収集してきた調査データを基に、2023年度までに起こった消費とメディア利用の変化の振り返りと、2024年度以降のトレンド予測を前後編の2回にわたって共有。戦略立案に必要な洞察を提供する。

リベンジ消費で「外出レジャー」が大幅に伸長した2023年度

 まず、2023年度の消費者動向を振り返る。この1年には、継続的な物価高騰や生成AIの台頭、LGBT理解増進法の施行、国際的にはパレスチナでの軍事衝突など、様々なできごとが起こった。

 だが消費者動向を語る上で特に外せないワードは「コロナ禍明け」だ。2023年5月に、新型コロナウイルス感染症は、国の定める感染症法においてインフルエンザと同じ5類となった。

 国内の就労状況や人流などをデータで見ていると、2022年夏ごろから消費者は活動を徐々に再開していたが、当時はあくまでも自己責任で気をつけながら行うといった様子だった。それが5類への移行によって明確に国から「お墨付き」が得られ、消費者は周囲の目を気にすることなく経済活動が行えるようになった。

 こういった背景から、2023年度には、行動様式がコロナ禍以前に戻り、国内旅行やイベント参加などの「外出レジャー」は大きく伸長した。特に外食産業は、インバウンド需要の回復も相まって、前年比はもちろん、コロナ禍前の2019年との比較で見ても大幅にプラスとなった(出典:日本フードサービス協会会員社による外食産業市場動向調査 令和5年(2023年)年間結果報告)。

 一方、2022年度初めから続く物価高騰が消費意向にブレーキをかけている。今後の経済の先行きへ不安から、多くの消費者がレジャーに手放しでお金をかける気持ちにはなれていないのが現状だ。加えて、円安の影響もあり、アウトバウンドの戻りはインバウンドと比べて大幅に遅れている。

コロナ明けもテレワークや買い物方法は変わらず定着

 他分野の消費についてもコロナ禍前の水準に戻ったものと戻っていないものがある。カテゴリ別の消費実態を示したのが下図だ。健康食品やスキンケア・アンチエイジングなどでは、コロナ禍中は、「巣ごもり生活の間にきれいになっておこう!」という「おこもり美容」への消費が多く見られた。しかし、このような消費動向もコロナ禍後は飽和が見え、代わりにポイントメイクへの消費が戻りつつある。

 また、「外に出かけられないから自宅でおいしいものを食べてストレス発散!」といったコンフォート・フード需要で伸びていたチョコレートなどのスイーツ系や、インスタント食品などの内食系の消費も、外食の戻りとともに飽和・減少の傾向となった。

 一方、価格高騰により消費者の生活防衛意識が依然高いことから、コロナ禍で伸びた生活基盤の見直しや投資意識などは伸長を続けている

【クリックすると拡大します】
カテゴリ別の消費実態

 チャネル面で特徴的なのは、コロナ禍で減った飲料やガムなどの「コンビニ・自販機消費」も消費額が戻っていないことだ。また、消費者の利用チャネルの動向を見ても、コンビニの利用頻度自体が戻っておらず、テレワークやまとめ買いなどの就労行動・買い物スタイルの変化は定着したことがうかがえる。

 一方で、急な巣ごもり生活で需要が増えたネット通販は元の水準に戻った。「何でもネットで買える環境」が整っても、買い物体験への需要は変わらず大きいようだ。

【クリックすると拡大します】
チャネル利用率

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この記事の著者

松下 東子(マツシタ モトコ)

野村総合研究所 コンサルティング事業本部 マーケティングサイエンスコンサルティング部 チーフコンサルタント 1996年東京大学大学院修了後、野村総合研究所入社。以来、一貫して消費者の動向について研究し、企業のマーケティング戦略立案・策定支援、広告・プロモーション効果測定および広告戦略策定支援、ブラン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

森田 光一(モリタ コウイチ)

野村総合研究所 コンサルティング事業本部 マーケティングサイエンスコンサルティング部  エキスパート 調査・コンサルティング会社を経て、2016年に野村総合研究所に入社。データ分析によるマーケティング/プロモーションの戦略構築・効率化支援に従事。感覚のみによるマーケティングからの脱却を念頭...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/17 09:00 https://markezine.jp/article/detail/45196

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