喫煙所はターゲットとの接触ポテンシャルが高い場所
2019年に設立し喫煙所の設置や運営、喫煙所空間での広告事業などを展開するコソドでは、路上喫煙や吸い殻のポイ捨てなどの社会問題解決を見据え、“正しい分煙”によって喫煙者と非喫煙者が共存しやすい環境づくりを目指している。
同社で取締役CMOを務める湯川氏は喫煙所運営のビジネスを行う背景を次のように説明した。「喫煙所は自治体や施設オーナーの方々にとってコストがかかる設備と見られてきたものです。改正健康増進法以降、喫煙所の数と喫煙者の需給バランスが大きく崩れており、路上喫煙やポイ捨てが増えてしまっています。そこで、サイネージ媒体を使って喫煙所を収益化し喫煙空間を維持することで、ポイ捨てされたごみの清掃や路上喫煙の削減を目指しました」(湯川氏)
本セッションで湯川氏がまず解説したのは、「喫煙所が注目される理由」だ。話によると、喫煙者の喫煙所利用回数は1日平均5回、滞在時間は1回平均6分。また、オフィスが仕事に集中する空間である一方で、喫煙所は喫煙者がリラックスして休憩できる空間だ。これらを踏まえると、喫煙所は、リラックスしたビジネスパーソンとの接触ポテンシャルが高い場所だと湯川氏は説明した。
国内喫煙者数は約1,700万人、現在も巨大なたばこ市場
たばこ市場の大きさにも注目していると湯川氏は語る。たばこの価格は上昇し続け、1箱の価格は約20年前と比べて2倍以上になり高級な嗜好品だ。それにも関わらず、令和元年の国内喫煙者数は推定で1,700万人超と、近年に至ってもなお巨大な市場だといえる。
加えて、喫煙所利用者に対する同社の調査によると、オフィスビルを利用する喫煙者は可処分所得が高い傾向がある。オフィスビルに設置されている喫煙所は、30~50代の男性エグゼクティブ層のビジネスパーソンがメインの利用者で、そのうち決裁権を持つ役職者が約4割を占める。これらのことから、オフィス喫煙所は消費につながりやすい層に訴求したい様々なBtoC企業にも、サービス導入の決裁権を持つ人に直接アプローチしたいBtoB企業にも有用な空間だと湯川氏は説明した。
音声と映像を使って認知獲得が可能
これらのターゲットにアプローチするための手段として同社が提供しているのが、喫煙所内デジタルサイネージサービスの「BREAK」だ。タクシー広告「GROWTH」を運営するニューステクノロジーと協業して展開しており、2023年12月時点で、13の媒体とオフィシャルメディアパートナ―として連携し、ITやビジネス、趣味、ライフスタイルなど、男性ビジネスパーソン向けのコンテンツや広告メニューを多く配信している。
そんなBREAKでは、大手不動産企業と連携し首都圏のオフィスビルを中心に277施設に368面を展開。月間で約15,000社の企業、300万人超にアプローチが可能だ。現在も設置場所は拡大中で、2024年内には500面まで拡大する予定だという。
BREAKには大きく二つの強みがあると湯川氏は語る。一つ目が、音声と映像を活用して関心を認知獲得ができる点だ。同媒体では、デフォルトで音声が流れる仕様になっていることから耳からのアテンション獲得が期待できる。加えて、サイネージ自体も最大55インチと大型モニターを活用しているため、喫煙所利用者に対して音と映像を活用して効果的に訴求することが可能だ。
二つ目が、広告効果の計測が可能な点。同媒体では、空間全体を見渡すAIカメラを搭載しており、曜日・時間帯別に喫煙所の利用人数の計測ができる。その上、同カメラには、同一人物を重複してカウントしないようにするユニーク解析機能も搭載していることから有効な広告接触の正確な測定が可能だ。
サイネージ×リアル空間を活かした四つの施策
次に湯川氏は、同社が運営する店舗型公衆喫煙所「THE TOBACCO(ザ・タバコ)」を紹介した。同施設は都内中心に全63ヵ所で展開。1施設につき月平均で約3万人に利用されている。オフィスビルの喫煙所と違い、同社が独占保有しているため、自由度の高い施策を行えることが特長として挙げられる。
サイネージ広告を視聴後に、実際にその場で商品を体験し、購入するといった一連の流れを喫煙所内で完結させるリアル空間ならではの施策が実施可能で、現在四つの施策を行っているという。
一つ目が、タッチ&トライだ。同施策では、喫煙所内に体験用商品と告知カードを設置。サイネージで認知した商品をすぐに体験してもらうことができ、商品の体験後には告知カードを持って帰ってもらうことで購入を促す。
二つ目が、設置サンプリングだ。同施策では商品サンプルを喫煙所内に設置して利用者に配布する。特に消費財との相性が良く、1ヵ月で2万~3万個を配布するポテンシャルがあるという。
また、同施策の特筆すべき点として、施設の利用者が出勤時や昼休みに手に入れたサンプルがオフィスで共有される点を湯川氏は挙げた。これにより、喫煙所の利用者以外への波及効果も期待できる。
三つ目がセールスプロモーション。同施策では、同社が雇用した接客スタッフを施設に派遣し、店舗内でアンケート回収や商品体験販売などのプロモーションを実施する。これまでに電子たばこの体験販売やリード獲得アンケートなどを実施した。
同施策は、THE TOBACCOユーザーとの接点にもなっており、同社とユーザーの関係構築にも寄与していると湯川氏は語る。
「近年、喫煙所が減っていることもあり、利用者からスタッフに対して感謝や応援の言葉をかけていただける事例が多数見られます。こうしたことからもセールスに対しても協力的な方々が非常に多いというのも特長として挙げられます」(湯川氏)
四つ目が、ポスター掲出だ。店舗内の視認性が高い場所にA1サイズの大きなポスターを設置。LPや購入ページへの導線となる二次元コードや検索キーワードなどを掲載して行動促進や興味付けを行うとともに、サイネージの映像や音声で詳しく説明するといったことができる。
サイネージとタッチ&トライ施策でQRコード経由のCVRが7.9%
セッションでは、BREAKやTHE TOBACCOのサービスを活用したデジタル×リアル施策の成功事例も紹介された。音声と映像が使えるといった強みやユーザー特性から、テレビ広告向けの素材を有効活用したい消費財メーカー、ビジネスマン向けの商材を扱う企業など、BtoC/BtoBを問わず多様な企業が広告を出稿していると湯川氏は語る。
その中でも効果が高かったものとして二つの事例を紹介した。一つ目が、スーツリフレッシャー(衣類消臭剤)を提供するブランド「PROUDMEN.」の施策だ。同ブランドの商品はスーツの消臭をしながら香り付けもできるというもので、メインターゲットは男性ビジネスパーソン。そのため、喫煙所との相性が良く、特ににおいケアへの意識が高まる喫煙中の人へのアプローチを目的に出稿したという。
この事例では、他媒体で放映した動画広告の素材を利用してサイネージで放映。同時に、タッチ&トライの施策を2023年6月から3ヵ月間を通し、千代田区中心に14施設で実施した。
出稿後、「スーツリフレッシャー」の指名検索数は前年同時期と比べて1.3倍に増加。公式Webサイト流入数も1.4倍になったという。出稿期間中(6~8月)は、出稿前(5月)と比較して、Web広告でのCPAは改善しながらもCV数の拡大を達成。告知カード経由においても高いCVRが得られた。
現場にいたスタッフからも「商品使用後に告知カードを持ち帰る方や、二次元コードからサイトにアクセスする方が多い」という声が多数あったという。
サイネージ×人のアンケート誘導で認知とリードを獲得
二つ目の事例は、社内のナレッジ管理を自動化できる「Yoomナレッジ」による活用だ。同サービスの導入を検討するのは主に総務部門や情報システム部門の担当者。この層に対する認知拡大と、営業活動強化に向けたリード獲得を目的に、2024年1月から1ヵ月間を通してサイネージ広告を出稿した。また、動画広告に加えてセールスプロモーションを実施。放映期間中に、千代田区を中心とした12施設で、特典プレゼント付きのアンケートを実施し、リード獲得施策も行った。
同施策では、放映開始の1~2週間前からポスターを喫煙所内に掲出し、プロモーションの事前告知を実施。放映開始後は、接客スタッフが施設利用者に直接声がけをしてアンケートへの回答を依頼し、承諾した人に二次元コードから専用サイトにアクセスしてもらう形式にした。アンケート自体は、全3問のシンプルな構成で、回答者には喫煙者向けの便利グッズを特典として渡した。なお、アンケートによって得られたリード情報は、クライアント企業が希望する営業管理ツールへと即時に連携。営業活動に素早く活用できる仕組みを叶えた。
結果として、4週間で合計605件のリードを獲得。クライアントによると、企業ドメインの比率は他のマーケティング施策と同水準であり、件数については展示会の平均リード獲得数よりも多かったという。
湯川氏は次のようにセッションを締めくくった。
「オフィスビルの喫煙所は、ビジネスパーソンが高い頻度で長時間滞在する休憩空間です。BREAKは“情報の受け取りや検討をするための余裕がある”の方々に訴求ができる魅力的な施策だといえます。業態・業界を問わず、様々な施策を行えますので、自社やクライアント企業のマーケティングにぜひ活用してみてください」(湯川氏)
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