「動画広告」の音声をそのまま使っても「音声広告」にはならない
「音声広告として、動画広告の音声をそのまま使用できますか?」
これは我々オトナルが、音声広告(デジタルオーディオ広告)の出稿をはじめようとしている企業様と話す際によく受ける質問です。この質問への答えは「原則はノー」です。
もちろん使用できないことはないのですが、音声広告出稿の効果最大化のためにはそれに最適化したクリエイティブが不可欠です。動画のために作った広告クリエイティブの音声部分だけを使うのではなく、音声の体験を加味した音声クリエイティブを作ることで、他のメディアフォーマットではできない広告施策になります。
本記事では、音声広告の効果を最大限に発揮したい場合、音声広告に最適化をしたCMを作るべき理由やその作り方を紹介していきます。
音声広告は「体験」のメディアである
音声広告で重要なキーワードは「体験」です。音声広告は視覚情報がないだけに、自身で脳内に何かをイメージしながら聴くという体験になります。耳から誰かの声を聴く体験は、目を閉じればCMの中にリスナー自身がいるような疑似体験や、そのCM内のビジュアルを自身の脳でイメージして補完することによる感情変化を引き起こします。
文字で説明するより体験していただくほうがわかりやすいと思うので、下記の音源を実際に聴いてみてください。イヤホンをつけて聞いていただくと、よりその意味を理解いただけるかと思います。
いかがでしょうか? やや不思議な商材の広告ではあるものの、聴きながらシーンの一部が脳内に思い浮かんだのではないでしょうか。
ビジュアルがないからこその音声の表現力が広告接触者の想像力と結びつき、音声広告にしかできない「体験」を生む、これが音声広告のクリエイティブの力です。本記事の後半では、実際に復数の企業の音声クリエイティブを聴いていただきながら作り方を解説していきます。
「感情」に響く、表現力の高い音声広告が広告効果を最大化する
グローバルエージェンシーであるWPP傘下のMindshareがSpotifyと行った消費者の潜在意識に関する調査では、音声広告によって引き起こされた感情強度の増加は、グローバルのすべてのメディア平均よりも12%高い結果となりました。感情に影響をおよぼす広告は広告接触者の行動意向が高くなり、ブランド好感度が上昇することがわかっています。
また、30秒の音声クリエイティブ聴取時における「感情強度」と「脳活動の強度」を示した下記のグラフでは、脳活動が高まったタイミングで感情強度が高まっていることがわかります。
つまり、音声広告は他のメディアフォーマットよりも感情変化を起こしやすく、脳が活発化するような表現力の高い広告クリエイティブにすることで、その広告効果をさらに高められるといえます。