“ながら聴き”で伝わる音声広告の可能性
運転への心理的ハードルを下げる日産自動車の技術
八木:本日はよろしくお願いします。まずは担当されている業務などについてお聞きしてもよろしいでしょうか。
中野:私は現在、日産自動車の日本マーケティング本部 ブランド&メディア戦略部に所属しています。部署全体では、テレビCMなどプロモーション全般を手がけています。私たちのチームは主にメディアを担当し、お客様に共感していただけるようマーケティング活動を行っています。
八木:日産自動車さんといえば日本を代表する自動車メーカーです。マーケティング活動においてどのようなポイントを打ち出しているのでしょうか?
中野:マーケティングに限らない話ですが、日産自動車は「電動化」と「自動化」の二大技術を軸に、「他のやらぬことを、やる」という精神のもとイノベーションを推進しています。「技術の日産が、人生を面白くする。」というコーポレートメッセージの通り、技術を起点にお客様の暮らしを豊かにし、ワクワクする車の開発・普及を進めています。
今回、音声広告を実施した軽自動車「日産デイズ」には、運転に不安がある方でも快適で余裕のあるドライブができる機能が備わっています。たとえば、運転支援技術の「プロパイロット」は、先行して走る車との車間距離や車線中央を維持するための運転操作をアシストするものです。軽自動車初の機能で、長距離運転への心理的なハードルを下げ、お出かけ先も楽しさもどんどん広げたいという思いがあります。
八木:確かに日産デイズの広告コミュニケーションでは、運転のしやすさが訴求されていると感じます。普段運転する機会が少ない方や、運転免許を取得したばかりの方も安心して運転に臨める印象を持ちました。
日産デイズの魅力を伝えるための新たな取り組み
八木:これまでマーケティングやプロモーションに関して、どのような課題があったのでしょうか?
中野:軽自動車カテゴリーで競合他社の商品と比較すると、日産デイズは知名度に課題がありました。具体的にはターゲット層に対して、先ほどお話した運転のハードルの低さなど、車の魅力が十分伝わっていない点です。
八木:なるほど。その課題にはどういった背景があるのでしょうか?
中野:そもそも、運転が苦手な方というのは、いつも車のことを考えているわけではありません。車に詳しいわけでもなく、まして興味があるわけでもない。そういったお客様にテレビCMで機能訴求をしても、なかなか響かないという根本的な課題を感じていました。これまでとは別の切り口によるプロモーション施策を検討していたところ、音声広告という手段が浮上したんです。
車に興味がなくても、広告が生活の中に混じっていく
八木:音声広告のどのような点に注目されたのでしょうか?
中野:「ながら聴き」で、生活における様々なシーンで直接広告を届けられる点です。車に興味を持てなくても、自然な形で情報発信できることが、日産デイズの広告手法として最適だと考えました。
八木:まさに音声広告の特徴ですね。イギリスの公共放送であるBBCによる調査でも、「ながら聴きで触れた広告の方が、記憶として定着しやすい」という結果が実証されています。生活時間における特定の行動とそこで聞いたものは、“混ざりやすい”ように私も感じています。
中野:おもしろいですね。生活の中にすうっと入って、広告メッセージと生活時間の体験が結びつくイメージでしょうか。
八木:おっしゃる通りです。一口に音声広告と言っても様々ですが、たとえば今回実施されたSpotifyの音声広告には、通勤や通学、運転中などシーンを想定した広告のターゲティングが存在し、ユーザーの行動や生活のモーメントに合わせたメッセージを届けられる特徴があります。
当然のことながら、多くの人は、朝と夜では感じていることが異なりますよね。それぞれの時間帯に最適な広告を届けることができると、広告効果も自然と高まるのではないでしょうか。