存在する部署間の壁。マーケターができることは?
コロナ禍で営業は、お客様へ訪問ができなくなり、デジタルマーケティングへの期待は高まりました。しかし、投資をデジタルに集中させることで、難局を乗り切れた企業もあれば、やりたくてもできなかった企業もあります。現在は大勢が集まるイベントも復活し、以前の活気が戻ってきたように見えますが、営業など他の組織との関係を改善できたと実感しているマーケターはどれだけいるでしょうか。
関係の改善がなかなか難しい代表例が製造業です。最近、国内のAdobe Marketo Engageユーザーが集まるJapan MUGの製造業分科会で実施したアンケートの結果を見ると、取り上げてほしいテーマに「営業との連携」「デジタルマーケティングの社内への理解浸透」が目立ちます。マーケティング部門を設置している企業が、「とっておきのお客様のコンタクトを営業に渡したのに、フォローしてもらえない」と「組織の壁」を感じるという悩みはいまだによく聞くところです。
営業との関係に限った話ではありませんが、受け手のことを考えないコミュニケーションは成果に結びつきづらいです。営業サイドとしては、「どんな経緯で接点を持ったのか、わからない状態でポンと渡されても困る」「今は案件に困っているわけでもないし、後にしてもいいか」と言うのが本音です。
このように、忙しさに紛れて忘れてしまいます。フォローしないことにはそれなりの理由がある訳です。リードを成果に結びつけたくても、営業が欲しい情報を提供できない一方通行のコミュニケーションをしている限り、「組織の壁」が消えることはないでしょう。
味方を増やすために行っている、各社の取り組みとは
連携がうまくできている企業では、施策の企画段階から営業との協力体制が構築されています。サイボウズの吉見さんは、「施策を始める時は、最初に必ず営業と何を実施するか、どんな条件でリードを営業に渡すかを合意している」と話していました。イベントでなくても、コンテンツの制作でも同じです。マーケティングと一緒に決めたことだから、営業も渡されたら「フォローしよう」と考えるはずです。
最初からこの仕組みがなかったとしても、軌道修正はできます。コクヨでは「デジタルマーケティングとは何か?」を理解してもらうため、営業向けの勉強会を定期的に実施しています。
マーケティングが定着していない企業の場合、営業の中には、「マーケティングはカタカナだらけの意味不明なことばかり言う」「Marketing Automationって、全部自動でやってくれるんだよね?」と考えている人たちもいます。どんな収益化のプロセスを検討しているか。その中でマーケティングは何をやるのか。営業からマーケティングの動きを確認できるようにすることで、営業も理解を深められます。
コクヨの場合、同社の芳野さんが講師になって勉強会を主催しています。
また営業の要望を定期的にヒアリングすること、マーケティングが作ったリードで営業が成功した事例を作って共有する取り組みも並行して行っているのです。