シニア女性のYouTube利用率は84.6%、生活の一部に
YouTubeは若者のもの──。そんなイメージは過去のものです。当研究所が2025年5月、全国50~88歳の女性493名を対象に実施したWebアンケートでは、「普段YouTubeで動画を視聴する」と答えた人は84.6%に上りました。「見ない」と答えた人はわずか15.4%。8割以上の女性にとってYouTubeは日常に溶け込んでいます。
年代別に見ると若干の差はありますが、全体の視聴ジャンルのトップ3は、「料理」、「コンサートやライブ映像」、「健康・医療関連」でした。

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視聴理由で多かったのは、「参考になる・ためになる」、「わかりやすい」、「おもしろい・楽しい」、「好きだから」でした。最初のきっかけは“実用”です。「献立に困ったときにレシピ動画をチェック」、「健康情報で体調管理」など、暮らしの中で役立つ情報を探すためにYouTubeを開いています。
興味深いのは、その“実用”がやがて“楽しみ”に変わり、日課として定着することです。当該世代にとって、「育って、クセになるメディア」であることが確認できました。
「実用→感情→習慣」がコンテンツ作りの鍵に
YouTubeの楽しみ方を聞いた自由記述では、「最初はレシピの参考だったけれど、今では毎日チェック」、「推しのライブ動画に出会って、気づけば夜中まで」という声が並びました。
この「実用→感情→習慣」の流れは、当該世代のYouTube視聴メカニズムと進化を象徴しています。この「役立つ情報がきっかけになり、好きになる、そして楽しいからまた見たくなる」というサイクルを意識したコンテンツ作りが企業に求められます。
- 実用:「ためになる」、「勉強になる」
- 感情:「おもしろい」、「楽しい」、「好き」
- 習慣:「毎日見ないと落ち着かない」
短時間で自分の関心のある情報が手に入る効率性から抜けられなくなっているのは、若者ばかりではありません。見るほどに、AIによるレコメンドが「好き」を深掘りし、気づけば見続けている。こうしてYouTubeは、暇つぶしではなく"やめられない日課"になっていくのです。
重要なのは、「きっかけは"実用"、継続は"感情"」という点でしょう。最初に“ためになる・役立つ情報”で関心をひき、その後“共感・好き”を積み重ねる設計が、シニアのロイヤルユーザーを生み出す鍵になりそうです。