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MarkeZine Day 2025 Autumn

田中洋が紐解く、ビジネス成功のキーファクター

Googleマーケティング バイスプレジデント岩村水樹氏が語る、キャリアとネットマーケティングの変遷

 ブランド戦略論の第一人者であり、中央大学名誉教授でもある田中洋氏による本連載。第13回は、Google アジア太平洋・日本地区 マーケティング バイスプレジデントの岩村水樹さんと対談しました。インターネットの黎明期から米国でマーケティングに携わってきた岩村さん。そのエキサイティングなキャリアや、Googleの組織文化に基づいたマネジメントの考え方、AI時代のマーケティングなどについて、前後編でお話しいただきました。

Google マーケティング バイスプレジデントの岩村水樹さんと対談

田中:本日はありがとうございます。岩村さんは、長年Googleで日本だけでなく、インドを含めたAPAC(アジア太平洋)地域のマーケティングのリードを取っていらっしゃいます。その傍ら、東京大学の理事、一橋大学ビジネススクールの客員教授なども務められるなど八面六臂のご活躍です。そうした岩村さんのご経歴を基に、今日の対談では4つのテーマを考えました。

中央大学 名誉教授 田中洋氏
中央大学 名誉教授 田中洋氏

1.岩村さんの今までのキャリアについて

2.Googleが現在取り組んでいるAI戦略について

3.Googleがこれほどの高い成長を継続できる背景にある組織カルチャーについて

4.岩村さんのマーケティングマネジメントについて

1990年代前半、インターネット黎明期に渡米

田中:最初に岩村さんが今までどのようなキャリアを経て現在に至られたのか、そこからお話いただけますか。

岩村:子供時代まで遡ってお話しすることになるのですが、私は子どもの頃、ドイツで育ちました。周りの子たちから「みんなまだハラキリ(切腹)をするのか」とか「大きくなったら忍者になるのか?!」などと言われ、けっこう驚いたんですよね。子どもながらにカルチャーショックを受けたわけです。

 国や地域間における価値観や文化の違い、そして「情報にアクセスできること」「知れること」の大切さを感じました。そうした経験を踏まえ、情報や伝達に関わる仕事がしたいと思い、大学卒業後、電通に入社しました。

グーグル合同会社 Vice President アジア太平洋・日本地区 マーケティング 岩村水樹氏
Google アジア太平洋・日本地区 マーケティング バイスプレジデント 岩村水樹氏

 電通で「生活者理解」とはどういうことなのかを会得できた頃、次は企業経営を学びたいなと思い、電通を退社してビジネスクールに留学したのです。

田中:岩村さんとは電通で同僚でしたが、当時から大変優秀でした。留学先は、スタンフォードでしたよね。

岩村:はい。当時日本では「マルチメディア」という概念が注目されていましたが、アメリカはもうインターネットの時代に突入していました。Webブラウザの「Mosaic(モザイク)」が出たのを覚えています。

田中:モザイクとは、ウェブページを閲覧するための史上初のブラウザのことですね。懐かしいです。

岩村:ビジュアルなグラフィカルユーザーインターフェイスで、ネットで情報が得られることにみんな衝撃を受けました。Yahoo!が生まれたのはその後です。まだGoogleはなかったのですが、スタンフォードにGoogleの創業者2人が在学していました。

 ビジネスクールでMBAを修得後、経営を学ぶためにコンサルティング会社で仕事をしました。それから大学で教えながら、インターネットのスタートアップ企業で起業を経験。さらに、ラグジュアリーブランドグループでもマーケティングやブランドCEOの仕事をしました。

 当時、まだラグジュアリーブランドでは、Webを使って事業を行うことは考えられない時代でした。そこでの物足りなさもあり、自分が元々持っていたパッションに帰りたいということで、Googleに2007年に入社しました。そこからもうすでに18年半経ったことになります。

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日本のモバイルシフトをリード、約9年前から進めてきたAIファースト

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この記事の著者

田中 洋(タナカ ヒロシ)

中央大学名誉教授。東京大学経済学部講師。京都大学博士(経済学)。マーケティング論専攻。電通で21年実務を経験したのち、法政大学経営学部教授、コロンビア大学客員研究員、中央大学大学院ビジネススクール教授などを経て現職。日本マーケティング学会会長、日本消費者行動研究学会会長を歴任。『ブランド戦略論』(2017年、有斐閣...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/09/24 09:00 https://markezine.jp/article/detail/49643

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