「紙で認知、ネットで確認」「ネットで知り、リアルで見る」
購買行動に目を移すと、シニア女性は「紙で知り、ネットで確認」する流れが顕著です。雑誌やカタログで商品を知り、YouTubeやレビュー動画で納得してから購入するケースが目立ちます。また、「SNSなどのネットで知り、リアルで確かめる」というパターンも見られます。リアル店舗で「実物を確かめてから買いたい」「スタッフに相談したい」という声も根強く、ネット完結にはならないのが特徴です。
この購買心理は、企業にとってヒントの宝庫です。オンライン広告や動画で“関心”を喚起し、紙やリアル店舗で“安心”を補完するクロス体験が重要になります。デジタルとアナログをどう組み合わせるかのオムニチャネル戦略に勝敗がかかっています。
YouTubeは“パーソナルな好奇心”を深める場所へ
「今どきシニアのメディア接触」の最新事情をお伝えしてきました。今後シニア女性のメディア接触は、どのような方向に向かうのでしょうか。
大事なポイントをまとめると、まずYouTubeは、テレビの代替ではありません。生活の一部として定着している点は同じですが、今やYouTubeは「自分の好奇心を静かに深めるパーソナルな場」へと進化しています。
冒頭で紹介した2025年5月調査では、「棒術や薙刀(なぎなた)の動画」など意外なジャンルを楽しむ人がいました。YouTubeは自分の「知りたい」「やってみたい」をダイレクトに刺激し、自分のための視聴スタイルを広げられます。自分の好きや好奇心を静かに育てて深めていくこともできます。
そして、AIによるレコメンドやショート動画の普及で、こういったパーソナルな習慣化はさらに加速し、シニアの日常生活を彩る“居場所”として定着し、重要な存在となっていくことでしょう。
一方で、リアルな体験や人とのつながりを求める気持ちは消えません。デジタルで“この好奇心”を刺激し、リアルで“信頼”を届ける。この組み合わせこそ、シニア層へのアプローチにおける最大のポイントです。