多変量テストでページの最終調整をする
前回紹介した「A/Bテスト」は、異なる複数の仮説に基づくページを作成しユーザーに実際に利用してもらうことによってその性能を比較し、最適解を導き出す手法だった。一方、今回の多変量テストではユーザーに利用してもらうページは1つだけだが、そのページ内にあるさまざまな表示要素ごとに複数の内容を登録し、最も効果の高い組み合わせを見つける、というものである。
まったく方向性が異なる仮説の絞り込みはA/Bテストが向いているのに対して、多変量テストでは採用した仮説のパフォーマンスを最大化するための細かい調整に向いていると言えるだろう。
次に、細かい調整とは具体的にどのような物か、その一例を紹介しよう。
多変量テストの使いどころ
筆者が多変量テストにおいて最も効果を実感する使いどころは「テキストのチューニング」だ。
筆者は、Web制作者の多くがテキストの存在を軽視しているような気がしてならない。人間が意志決定を行うために文字情報は欠かせない。Webサイトの目的がブランディングであろうとECの売上であろうと、文字でユーザーに伝えなければ目的は達成しえない。
最新のテクノロジーや、派手な表現手法を取り入れてみたいと思うのは作り手としてはごく当たり前の気持ちだ。しかし皮肉なことに、テクノロジーや表現だけではユーザーに思いの半分も伝わらない。
Webサイトはユーザーが利用してはじめてその存在価値がある。今作っているWebサイトは本当にこちら側の思いが魅力的に伝わっているか、もう一度テキストレベルで見直していただきたい。
話がそれてしまったが、本質的な情報である「テキスト」を最適化するための方法として、多変量テストは非常に向いている。
その他では、どの表示要素を強調するべきか、つまり情報の優先順位を調整する時にも重宝している。これらはあくまで筆者の使い方であり、その他にもさまざまな局面で利用できるだろう。