自分でできるWebサイトチューニング
「予算はないが売上を向上しなければいけない」。突然襲った不況の波はあなたにこのような難問を突きつけてはいないだろうか。
「やろうとしていたことはいっぱいあるが、どれをやるにも割とお金がかかってしまう」「リニューアルも考えていたがこの景気で急に計画が消えてしまいそう」という悩ましい声をよく聞くが、実は自分で着実に効果を上げられる方法があるのをご存知だろうか。この方法は、ひょっとするとリニューアルをするよりも効果的かもしれない。そして、基本的に無料ときている。
これからご案内する方法をひとことで言えば「分析と改善」だ。「なんだ、PDCAの話か」と感じるかもしれないが、Webサイトに関して言えば、第一線級の超有名企業でさえできていない場合が意外に多い。数字に苦手意識があると「分析」という言葉だけで敬遠してしまうかもしれないが、さにあらず。一定の流れに従って行う「作業」がほとんどだから、あまり構える必要はないのだ。外部にお願いする前に、まずは自分でWebサイトを診断するスキルを身につけていこう。このスキルを身につけることで、発注スキルの向上にもつながるはずだ。
サイトの問題点は意外と簡単に見つかる
まずは自社サイトのログデータを見てみよう。このページをご覧いただいている方々は、Web解析ツールの存在を知っているだろうし、使ったこともあるだろう。しかしその膨大なデータに嫌気がさして、使わなくなってしまった方も多いのではないだろうか。実は解析ツールで見られる情報のうち、本当に有益と言えるものはそこまで多くはない。どのデータが有益なのかはサイトによって様々だが、ここではどのようなWebサイトにおいても最低ここだけは見ておきたいポイントに限定して紹介したい。
- 離脱率
サイトを訪れたユーザーが、該当のページで去っていく確率をあらわす。この数値が高い場合はユーザーのニーズと提供している情報・機能にギャップがあると考えられる。もっとも、ユーザーの問題を解決したページも離脱率が高くなるのだが、このようなページはECサイトのサンクスページ程度で、あまり意識しなくてもよいだろう。離脱率が高いページそのものの改善ではなく、その前のページ(遷移元)の改善が効果的な場合もある。
- 直帰率
検索エンジンなどの外部サイトから訪れたが、そのページを見ただけですぐに立ち去っていく確率をあらわす。離脱率と似た数値だが、前のページは外部サイトだから改善することはできない。チープなデザインやナビゲーションの設置方法が悪いと言った原因も考えられる。
ネットメディアでは「PV」や「平均PV」、最近では「滞在時間」などが重視されるし、ECサイトでは「コンバージョン率(CVR)」などが重視される。しかし、これらの数値は「結果」である。これら数値から問題を分析して改善につなげることは難しい。改善の指標としてみるべき数値としてこの2点は非常に重要な意味を持つ。離脱率も直帰率も、そのページで立ち去られてしまう確率を示している。
つまり、これらの数値を改善することは「目的を達成するまでずっと滞在されるWebサイト」を目指していることになる。多少の誤解を恐れずに言うと、これらの数値が改善されるとPVも滞在時間も上がるし、コンバージョン率だってあがる。
直帰率と離脱率。これは必ずチェックして欲しい。