3月16日、ニフティ株式会社にて「『湯川鶴章のIT潮流』1周年記念・出版記念ビジネスセミナー」が催された。このイベントは、時事通信のIT専門記者であり、「ネットは新聞を殺すのかblog」を通じてブロガーとしても活躍してきた湯川鶴章が、ニフティ「Podcasting Juice」を利用して、話題のIT業界キーパーソンにインタビューする人気ビジネスPodcasting「IT潮流」の1周年記念と、番組でのインタビューを書籍化した『ウェブを進化させる人たち~ITの新しい潮流を創る15人の声』(翔泳社)の出版を記念したものだ。
セミナーには、Podcasting「IT潮流」のインタビューイ(チームラボの猪子寿之氏、「Newsing」の上原仁氏、ネットイヤーグループの石黒不二代氏、ニューズ・ツー・ユーの神原弥奈子氏など多数)や番組リスナー、ITビジネス系ブロガーが続々と集まり、定員100名ほどの会場(ニフティ株式会社セミナールーム)はイベント開始後、まもなく埋め尽くされた。
パネルディスカッションでは司会を務めた湯川氏が、番組のインタビューイでもあるパネラーの小林雅氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ)と、村松竜氏(GMO VenturePartners)にSNSやセカンドライフなどIT業界の話題や、2007年以降の業界動向について質問し、活発な討論に会場の注目が集中した。
現在、IT業界で話題となっている3Dバーチャルワールドの「セカンドライフ」について、小林雅氏は「セカンドライフのアバターのルックスは、日本人にとって違和感があるのでは。日本人向けにカスタマイズしないと普及しないだろう」と、一部メディアが報道する「日本でのセカンドライフの爆発的普及」に懐疑的な姿勢を示した。また湯川氏が会場に対して「セカンドライフが日本で流行ると思うか」という質問をしたところ、「流行らないと思う」に挙手した割合が会場の9割超を占めた。
続いて「YouTube」に代表される動画投稿サイトの話題になると、小林氏が、「中国にはYouTubeのような動画投稿サイトが300以上もあり、また投稿数が人口に比例すると考えると、2~3年後はこの分野で中国が台頭してくる可能性がある」と指摘した。
一方、ベンチャーキャピタルのGMO VenturePartners・村松氏は2007年のIT業界の見通しについて、「ソーシャルメディアで広がる新しいマーケティングの可能性に期待している」と発言し、ユーザーの思想や行動にターゲットした広告やPR、マーケット活動にマーケティングがシフトしていくと2007年以降のIT潮流を占った。
セミナー後には懇親会が催され、湯川氏を中心として、ITの話題を主として活発な情報交換が行われた。