業界初?のQRコード付きの広告を出稿
あっという間に“有名巨大ファッションサイト”となった感のある、ZOZOTOWN(ゾゾタウン)だが、創業間もない頃のプロモーションは、掲示板への書き込みなど地道な宣伝活動を行っていたという。当時はSEO、リスティング、アフィリエイトなど、今では当たり前の集客施策を行う環境も整っていなかったようだ。スタートトゥデイ 取締役 マーケティング本部長 前原正宏氏(写真右)も「当時はファッション関連の情報サイトは少なかったです」と振り返る。
そこで、同社が行った集客手法は雑誌への広告出稿。アパレル業界からすれば当たり前の施策である。しかし、知名度も低く、広告へかける予算はあまりなかった同社にとって、読者の目に止まりやすい場所への広告出稿は難しかったようだ。もちろん、同社の広告出稿目的はサイトへの集客。そのためURLサイズを大きくしたところ「今までに前例がなかったこともあり、難色を示されたこともありました」と笑う。
また「正確に裏をとったわけではないですが、ファッション誌へQRコードつきの広告出稿を行ったのは弊社がはじめてのような気がします」とも明かした。費用対効果を計る目的で、QRコードのURLを変えてコンバージョン数をとっていたわけだ。
このように、地道に集客施策を実施していたわけだが、2002年頃から、少しずつサービス提供がはじまっていたリスティング(検索連動型広告)に予算を割くようになっていったとのこと。
Googleと同時期にテレビCMへ出稿するなど、抜群のマーケティングセンスを持つ同社だが、現状大きく予算を割いている集客施策はやはりリスティング。SEO対策やアフィリエイトなども同社のルールに沿って行っているという。また、同社の場合“イメージ戦略”が非常に重要なため、雑誌広告、バナー広告など、イメージを訴求するような広告については、同社独自の基準を設けているようだ。
「雑誌広告、バナー広告など、ブランディング効果の高い広告出稿には、特に気を使っています。効果が出れば何をしてもOKというわけではなく、ZOZOTOWNやそこに出店しているテナントのイメージを崩すものはNGにしています」。
分析結果にとらわれないサイト運営も時には必要
また、ECに限らず通販会社では通常、マーケティング予算に対して、KPI・KGIといった目標値を決めて施策を実施していくのが当たり前だが、この点についても同社らしい見解を示している。
「チームを作って目標値を達成するために何が必要なのか、何を改善すべきなのか、は共有しています。しかし、ユーザー目線で見ると、やらなければならいことが山ほどあるので、まずはそれを実行し、かついかに数をこなしていくかが課題です。人材もシステムも無限ではないので、分析は必要最低限に留めています。分析は必要ですが、時には分析結果にとらわれないサイト運営も必要だと感じています」とし、分析絶対主義の姿勢について警鐘を鳴らした。
具体的な例を挙げると、直近で行った「1年間の送料無料」キャンペーンは、分析結果を参考にしたのではなく、ユーザー目線という理念から実施したとのこと。Amazonも送料無料のキャンペーンを行っているが、実はスタートトゥデイはそれよりも先行して行っていたようだ。それに追随するかのように競合他社も続々と同様の送料無料キャンペーンを実施したが、いち早くはじめたスタートトゥデイは先行優位性を確保できたという。