“圧倒的No.1” 中国ECサイト最大手「淘宝網(タオバオ)」とは
日中のナンバーワン同士が提携した“最強連合”――。Yahoo! ショッピングと中国のECサイト「淘宝網(タオバオ)」は、互いの商品データベースをAPIでつなぎ、日本から中国、中国から日本の商品購買を代行してくれるサービスの提供を2010年6月1日から開始した。冒頭の一文は、両社の提携をソフトバンクの孫正義社長が評した言葉だ。
日本のポータル最大手であるヤフーがパートナーに選んだタオバオは、日本では誰もが知っているサイトとはお世辞にも言えず、まだまだ知る人ぞ知るレベルの知名度ではないだろうか。だが、日本での知名度に対し、中国ではECサイト最大手。しかも、ただのナンバーワンではなく“圧倒的”という冠を付けてもおかしくないほど中国で利用されているサイトだ。
日本でECサイトと言えば、楽天市場やAmazonなどが思い浮かぶ。タオバオも“ECサイト”という意味では同じ分類になるわけだが、正確に言うと楽天市場やAmazonとは違う分類になる。提供している機能は同じECモールやオークションのサービスなのだが、ビジネスモデルが別物なのだ。
楽天市場は主にBtoC向けのECモールだが、タオバオは個人の売り手と買い手を結び付けるCtoC向けのサービス。BがCとして売り手になっているケースもあるので、CtoCとBtoCの混在モデルと言える。そのため、楽天市場よりもeBayに近い。
中国の調査会社iResearchによると、中国のEC市場規模は2009年、2483.5億元(約3兆3279億円)に達したという。一方、2009年にタオバオのサイト上におけるEC流通総額は約2000億元(約2兆6800億円)。実に中国の小売販売額の約1.98%を占め、ECに限ってみると80%以上がタオバオを介して行われていることになる。
タオバオのすごさについて実感を持ってもらえるよう、日本における楽天のプレゼンスと比較してみよう。比較する年が違うので多少不利になってしまうが、経済産業省が発表している「我が国のIT利活用に関する調査研究」(電子商取引に関する市場調査)では、2008年の消費者向けECの市場規模は6.1兆円とされている。同年の楽天グループの国内流通総額(国内EC+トラベル)は9874億円。トラベルを含めて流通総額を算出したとしても、全体から見た楽天のシェアは約16.2%という計算になる。