ECサイト大手が支持する「Adobe Scene7」とは
Webパブリッシングを革新し、運用体制自体も変革する――。大げさな表現かもしれないが、アドビ システムズ社のリッチコンテンツ配信プラットフォーム「Adobe Scene7(以下、Scene7)」に対する感想がそれだ。
日本でScene7の事業展開が始まったのは2009年9月からとまだ1年も経っていない。だが、海外ではAmazon.com、Fila、Levi Strauss & Co.、Harley Davidson、Harrods.comなどの小売大手が導入済み。
Scene7の機能をざっと説明すると、画像・動画・音声、Adobe Creative Suite、Microsoft OfficeなどのファイルをWeb上で一元管理し、Web・印刷・メールなどのさまざまなメディアに向けて、サイズ・解像度・ファイル形式を変換して最適化したうえで自動配信するというもの。
さらにAdobe Creative Suite やAdobe Online Marketing Suite, powered by Omnitureと連携させることで、Webサイトの構築・運用・改修といった一連のプロセスを劇的に改善する基盤として機能する。
ここまでの説明では雲をつかむような話かもしれない。
アドビ システムズ社のScene7 メディアソリューションズ部門 プロダクトマーケティング担当シニアディレクターのシーラ・ダルグレン氏(写真左)の話を交えながら、Scene7がWebサイトの運営・マーケティングでどのように使えるのか、掘り下げて見ていこう。
コンバージョン率・売上アップにつながり、コンテンツ制作の手間を大幅削減
Scene7を導入するメリットの1つは、サイト来訪者に向けてリッチなコンテンツを簡単に提供できること。
ECサイトを例に取ると、商品画像のズーム・回転といった機能を手軽に導入することができる。ユーザーが商品を隅々まで納得するまで見られるようにすることで、コンバージョン率が上がり、売上も増える。
実際にAmazon.comでは滞在時間が30%増え、そのほかのサイトでも、コンバージョン率が最大2倍になる、平均注文金額が最大19%アップするなど、多数の成功事例が報告されている。
また、売上を伸ばすだけでなく、工数を減らして運用効率を上げる面でも効果がある。
ECサイトのような多数の画像を使うサイトでは、サムネイル用、商品ページ用、拡大表示用と、同じ画像でも目的に応じて複数の画像を作成しておかなくてはならない。
ところがScene7を導入すれば、必要な作業はオリジナルの画像を1枚アップロードするだけで済む。後は配信先でサムネイルに使うのか、メインのイメージ画像として使うのか、目的別にサイズ・解像度・ファイル形式を指定してやれば、自動で最適化して配信されるようになる。
「ちょっとサムネイルの画像サイズを変えたい」と思った時の設定を変更する方法も簡単。画像を呼び出すためのURLのパラメーターさえいじってやれば、それだけで済んでしまう。
あるサイトでは掲載するコンテンツの点数を最大80%削減し、またあるサイトでは制作にかかる費用・時間を最大70%減らしたという。運用効率を改善する面でも、十分な数の実績を残している。
ダルグレン氏はそうした成功事例の1つとして、Philipsのサイトを紹介。
「Philipsは56のローカルサイトを持っていますが、Scene7を導入することで1つの画像セットだけですべてのサイトをサポートできるようになりました。画像を一式用意しておけば、画像のズームにもストリーミングで表示していきますので、非常にディテールまで確認できます。サムネイルもScene7でダイナミックに生成しています。製品を360度回転表示させるために、24~56枚ほどの一連の画像を合成して見せることもできるようになりました」
結果、Scene7の導入後、顧客満足度は7%ポイント、コンバージョン率では2ケタ台の大幅な改善を見せたという。