SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

水野貴明の“技術から学ぶ”アクセスログの読み方

Ajaxとアクセス解析の関係を読む

 それを見ることで、そうしたものにどう対応すればいいのかがわかってきます。ページ遷移がなくても、そのページの中身はユーザーの操作や情報の変化によって書き換わっているわけですから、サーバとのやり取りは発生しています。しかし、通常のページ遷移が「ページを切り替える」という作業によってサーバとのやり取りを行うのに対し、こうしたサービスでは、JavaScriptなどを利用して、ページを移動することなく、サーバとのやり取りを行っているのです。

 JavaScriptは以前の記事「JavaScriptを使ったアクセス解析とはなにか」でも解説したとおり、ブラウザ上で動作するプログラム言語であるため、ページが読み込まれたタイミングでなくて、ページを表示している最中の任意のタイミングで実行することができます。例えばマウスで画像やリンクをクリックしたときに、他のページに移動する代わりに、JavaScriptを実行して、ページの内容を書き換えることができます。

 この技術は「DHTML」と呼ばれます。「D」は「Dynamic」つまり「動的」という意味です。WebページはHTMLで書かれているわけですが、DHTMLはHTMLをJavaScriptを使って自由に変更することで、その結果、ページの表示内容をいかようにも書き換えることができます。先に紹介したページ遷移の少ないWebアプリケーションでは、このDHTMLという手法を持ちいて、ページの内容を書き換えているのです。

 例えばGmailでは、「メールの作成」リンクをクリックすると、ページが切り替わって新規メールの作成画面が表示されますが、この際にもページの遷移は起こっておらず、JavaScriptを使って表示を切り替えていることがわかります。

Gmailにおけるページの移動

ページ遷移を利用したサイトと、そうでないサイト

meebo」の場合はもっと大胆で、ページ内に複数の「ウインドウ」が表示され、それをマウスで動かしたりすることができますが、これらもすべてDHTMLを利用して処理が行われています。DHTMLを利用したページの書き換えは、ブラウザの中で実行されたJavaScriptが行っているため、新たにサーバに情報を問い合わせる必要は、必ずしもありません。しかし、多くのサービスでは、内容を書き換えるために必要なデータをサーバから取得する処理も行っています。そのときに利用される技術の1つがAjaxです。

 Ajaxは「Asynchronous JavaScript+XML」の略です。「Asynchronous」は「非同期」という意味で、これはサーバへのアクセスを「非同期で」行うことからきています。この非同期、というのはコンピュータの処理で用いられる用語で、「何かの処理を実行しているとき、プログラムがその処理の終了を待たずに先に進んでしまう」という意味です。この場合は、サーバへのアクセスを行い、データのダウンロードをしているときに、最後までダウンロードされるまえに処理を先に進めてしまうことを言っています。そのおかげで、サーバからデータをダウンロードしている間にブラウザが「固まって」しまうことがなく、利用者にとっても使いやすいものとなります。残るJavaScriptとXMLは、利用されるプログラム言語とデータ形式の名前です(実際にはXML以外のデータ形式を利用する場合もあります)。

 と、名前の由来はさておき、Ajaxを利用することで、例えばページ内のどこかをクリックしたとき、どこかの上にマウスカーソルが載ったとき、もしくは何もしなくても定期的に、といったさまざまなタイミングで、ページを移動することなくサーバにアクセスをしてデータをダウンロードし、その内容をもとにページを書き換えることができるのです。したがって、ページ遷移を利用したサイトとそうでないサイトのサーバとのデータのやり取りの流れを比較すると、以下のようになります。

参照ページ遷移を行うページと行わないページの仕組みの比較

 このように、それぞれではアクセスの仕組みは全く異なっています。そのためアクセス解析の方法、というよりもむしろアクセスという概念そのものが異なっており、それを踏まえないことには、正しい分析を行うことはできないわけです。

次のページ
どのようにアクセス解析すべきか

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
水野貴明の“技術から学ぶ”アクセスログの読み方連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

水野 貴明 (ミズノタカアキ)

1973年東京生まれ。バイドゥ株式会社勤務の兼業テクニカルライター。学生のとき に父親が買ってきたパソコン(マイコン)と出会い、コンピュータとの付き合い を開始。大学は有機化学、大学院では分子生物学を学ぶも、就職で再びコンピュータの道を進むことになった。その後インターネットの普及により、様々な方に出会う機会を得て1999年より執筆活動を開始。 http://d.hatena.ne.jp/mizuno_takaaki/

 

著書
『アクセス解析でホームページの集客を極める本』 水野 貴明著、 ソーテック社、2005年3月 
『詳解RSS~RSSを利用したサービスの理論と実践』 水野 貴明著、ディー・アート、2005年8月

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2007/06/05 08:00 https://markezine.jp/article/detail/1243

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング