YouTubeの現状と広告事例
YouTubeは現在、全世界で1日に20億回以上の動画視聴、毎分35時間以上の新しい動画のアップロードが行われる世界最大級の動画プラットフォームとなっている。
日本は北米に次ぎ世界で2番目に利用者数が多い市場となっており、月間利用者数は2900万人、月間PV数は国内で5番目に多く約30億PV、一人あたりの利用時間は月に1時間33分、国内インターネット人口全体へのリーチは約46.7%にのぼる。また、マネタイズも好調でパートナー収益は2年連続で3倍に、広告主の数は1年で10倍に増えており、Googleの中でも最も成長しているサービスの1つだという。
グーグルでは、YouTubeユーザーの行動を次の4つに分類し、それぞれの段階における広告サービスを提供していると、メロートラ氏は説明する。
- 入り口
トップページへの流入。下記のようなスクリーン幅をすべて使ったマストヘッド広告や、動画が自動再生されるオートプレイ広告、エキスパンド広告などが提供されている。 - 検索
視聴したい動画を検索していく段階。動画の検索のみにしか使われないにも関わらず、YouTubeにおける検索クエリ数はGoogleに次いで2番目に多いという。検索時のユーザーに対する広告サービスとしては、検索クエリーに応じて検索結果画面にプロモーション動画への誘導広告を表示する「プロモート動画」が用意されている。 - 視聴
動画の視聴段階においては、広告主が選んだパートナーの動画が開始される前にプロモーション動画を差し込む形式や、特定のキーワードに対して動画の再生ページに広告を表示させるといったサービスが用意されている。 - エンゲージメント
ユーザーがお気に入りに登録する、動画を評価するといった段階。ユーザーとのエンゲージメントをするための広告サービスとしては、ブランドチャネルやコンテストなどが挙げられる。ブランドチャネルは、各広告主が用途に応じてページをカスタマイズできる。また、企業のプロモーション動画であっても、面白ければユーザーに受け入れられ、十分にエンゲージできる傾向も見えてきたという。国内の年間視聴回数ランキングにも、ワコールの「噂のリボンブラ体操」やリーボック(アディダスジャパン)の「ラヂオ体操第4」などがTOP10に入っている。下記は、国内外のブランドチャネルやプロモーション動画の一例だ。
様々なプロモーションがYouTube上で展開される中で、「ユーザーに好まれる動画を広告主が作れること」「ユーザーがオプトインして動画を見に来るため従来型の広告よりも効果が高いこと」が分かったとメロートラ氏は解説。この考えに基づいて開発された、新たな広告フォーマット「True View動画広告」を紹介した。
新フォーマット「True View動画広告」
「True View動画広告」は、どの広告主の広告を見たいか、そしてどのタイミングで見たいかをユーザーが選択できる形式の広告。米国では既にテスト運用が開始されており、国内でも3月より試験的に導入される。
「True View動画広告」には、次の2種類の形式がある。1つは、複数のプロモーション動画から、ユーザーが見たい動画を選択する「インスレート広告」。もう1つが、ユーザーがプロモーション動画をスキップできる「インストリーム広告」。どちらも、最後まで視聴された場合にだけ、広告主に対して課金が発生する。検索連動型広告「Google AdWords」と同じように広告主による入札形式で提供され、品質スコアに近い方式で課金額が設定される。本格導入時には、Google AdWordsの管理画面上から入札できるようになる予定だという。
これらの新広告フォーマットに対してメロートラ氏は、「こちらから選んだ広告を見せるわけではなく、ユーザーが自ら見たい広告を選ぶため、これまでの数倍~数十倍の効果を期待できる。(中略)また、業界全体にとって重要な第1歩だと思っている。過去何年にも渡って、テレビは広告数を増やすことで売上を上げようとしてきた。テレビ広告も初期は1番組あたり1社だったが、近年は1時間の番組に15~20分の広告が入る。しかし、より少ない広告をユーザーに見せ、より大きな価値を広告主に提供し、広告のクリエイターにとってもより収益が大きくなる方法があると我々は考えている」とサービスの優位性を強調した。
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