ベンチャーキャピタル Innovation Works設立者にして、Apple、Microsoft、Googleでの経歴を持つ李開復(LEE KAI-FU)氏によれば、中国は「モバイルインターネット大衆時代の到来」だそうである。
2012年に中国のモバイルネットユーザーの数は4.51億に達すると予想。スマートフォンの普及も進んでおり、2012年時点でiOS(iPhone)は2,300万台、アンドロイドは5,200万台で、合計7,500万台。2012年中には1.3億台の規模に上るだろうとのことだ。
ちなみに、2011年に中国のスマートフォンで人気を博したモデルに、中兴の「ZTE-T U880」(Android2.2)がある。ネットにそれほど詳くはない層が、1,000~2,000元(13,000円~26,000円程度)のスマートフォンを選択する傾向にあるそうだ。
李氏によれば、大衆化はモバイルのソフト面でも進んでおり、サービスから娯楽的なものへとニーズが傾いているとのこと。代表的なのは中国でもやはり「ゲーム」。ゲーマーのためのリッチで難しい有料ゲームよりも、誰でも簡単にできる簡単で安いゲームが需要・供給とも高まっているのだ。
他国と比較して中国人のモバイルユーザーは、ゲームや音楽よりも通話やインスタントメッセージに時間を費やす傾向にある(Arbitron Mobile社より)が、アプリ開発も活発でそのほとんどが無料で提供されている。91.comというアプリ制作会社の郭云氏は、「ゲームは無料で配信し、課金アイテムで黒字を出した」とコメントしていた。
さて、「モバイルインターネット大衆時代の到来」にいかなるWebサービスが必要とされるか。李氏は「O2O」の「2」を担うサービスだと予測する。たとえば、中国最大のショッピングモール「淘宝(taobao)」のように、レストランやリアル店舗などのオフラインサービスとオンラインサービスをつなぐ役割を果たす存在だ。
「2」を担う企業にとって、果たしてネットにそれほど強くないユーザーが使ってくれるか、ユーザーのコスト負担が高過ぎないか、オフライン側がネットに消極的なのをどうするかなど課題があることを指摘しつつ、技術がわかるベンチャーキャピタリストらしく、成功する方法をともに探って行きたいと述べ、講演を締めくくった。