アイリサーチの曹军波氏によれば、中国にECの概念が入って来たのは1993年。1999年から実際に取引されるようになり、2003年にはSARSの影響でイーコマースが大発展を遂げた。
そして昨年2011年、市場規模は7,666億元(9兆9,658億円)、前年比66.3%の成長率である。曹氏によれば、2012年には1兆1,840億元規模、2015年には2兆5,510億元規模になり、また2013年には米国ECの市場規模を抜くであろうと予測している。
発展のカギを握るのは、大幅な成長率を示す「三線都市」といわれる新疆、陝西省、甘粛省、遼寧省と内蒙古自治区などの地域である。しかしながら、北京、上海、広州といった一・二線都市に比べて、ビジネス上の困難は多いのは否めない。
ビジネスモデル別に市場規模を見ると、2011年ではC2C市場は5,916億元、B2Cは1,750億元、旅行サイトは1,730億元であった。それが、2014年にはC2C12,518億元、B2Cは7,607億元、旅行サイトは4,630億元規模になるだろうと予測している。
次に、個々のサイト別に見てみよう。2011年における中国のECサイトのトップ3は、1位天猫(tmall、旧・淘宝商城)、2位360buy(京东商城)、3位苏宁易购(suning.com)となった。それぞれ特徴は、tmallはそのユーザーの多さから「プラットフォーム」であり、360buyは扱う商品の価値が高く、suning.comは老舗企業であるという点だ。
※suning.com:家電製品をメインに、アパレル、日用品などマルチに商品展開する総合量販ECサイト。日本のラオックスを買収し、リアルな家電量販店も展開する。
中国におけるアリババグループの強さはご存じのとおりだが、taobao(C2C)とtmall(B2C)でネットショッピング市場の80%を占め、tmallと360buyでB2C市場の70%を占めているといった寡占ぶりである。
また、ネットショッピングの商品分類を見ると、もっとも多いのがアパレルで19.0%を占めるが、食品、家電、ゲームなど多岐に渡る(車もネットで買える)。
最後に、ネットショッピングにおけるモバイルの割合が増加していることに触れ、モバイル決済のSquare社(米国)のようなサービスが中国にも必要ではないかと述べ、講演を締めくくった。