上手く書いたつもり? たぶんヘマしている
今、あなたの目の前には苦心惨憺の末に書きあげたコピーがある。次にあなたがすることは何か? おそらくクライアント、もしくは上司、あるいはWebデザイナーに送信することだろう。
だが、それは待ってほしい。まだ重要なことが残っている。それはコピーの検品だ。品質チェックをせずに世に出してはいけない。
コピーに限らず、文章の作成は推敲をもって終わる。たしかに、文章は永遠に完成しないもの。どんなに推敲を重ねても必ず気になる箇所が出てくる。それでも時間が許す限り、推敲は必要だ。
村上春樹さんは『スプートニクの恋人』を1年以上かけて何十回もかけて書き直したという。ヘミングウェイは書き上げた原稿を、いったん銀行の貸金庫に預けて、しばらくして書き直し、また金庫に預けてというプロセスを繰り返したという。
推敲をすれば、文章はブラッシュアップされ格段に良くなる。また、ミスを発見して修正することができる。完成度がぐんと高まるのだ。コピーも同じ、推敲時に必殺のアイデアが舞い降りることもある。それに上手く書いたつもりでも、何かヘマをやらかしているはずだ。
コピーを書く以上は、目的にかなったミスのないコピーを目指さなくてはいけない。コピーの仕上がり具合は、あなたの信頼度につながっていくからだ。では、どんなチェックをすればいいのか見てみよう。
コピーの検品ポイント1:まずはクールダウン
文章はひと晩寝かせと言われている。だが、寝かしたところでカレーや煮物のように勝手に美味くなるわけではない。寝かさなくてはいけないのは書いた本人、そうあなたのアタマの粗熱だ。
文章を書いているときは、脳がフル回転していることもあって、たいがい気分が高揚している。自分のコピーに酔いしれていることもあるだろう。そんな興奮状態でミスを見つけるのは難しいし、自画自賛状態で書き直しをするのは無理だ。
まずはアタマをクールダウンさせよう。できれば半日から1日くらいの時間が必要だ。Web上の読み手は冷淡で辛辣だ。読み手の立場になって、平常心で読み直さなくてはいけない。“書くときはホットに、推敲はクールに”で行うのが鉄則だ。
コピーの検品ポイント2:プリントアウトする
知り合いの社長さんによると、社内連絡を印刷して配ったところ、ほとんどの社員が読んだ。これをメールで一斉送信したら、読んだ社員は7割ほどに減ったという。英国の郵便会社が印刷された広告とデジタル広告のどちらが知覚されやすいか実験を行ったところ、印刷広告の方が知覚されたという。紙メディアは意識を集中して読まれるということらしい。
PCのディスプレイがいかに鮮明であっても、紙と比べると読む時間がかかるというデータもある。じっくり見ようとすると目が疲れるからミスに気づかないこともある。ディスプレイは<さっと見る><ながら見>の方が適しているとも言われている。面倒だが、推敲する時はプリントアウトして紙の上で行うことをお勧めする。集中しやすく、効率的だ。
コピーの検品ポイント3:声に出して読む
書いたコピーを声に出して読んでみると、目で読むだけでは気づかないことが見つかる。たとえば脱字、音読しないと見落とすことがある。それからリズム、スラスラ読めるよう書いたつもりが音読してみると、案外もたついているなんてことはよくある。
その他、まどろっこしくてイラッとする。「の」が多い、「も」が続いてくどい。終わりが「です」ばかりで単調、といった文章の粗が見つかりやすいのだ。人は黙読するときでも、脳内で音声に変換して読むことが多いので、音読してチェックした方がうまくいくというわけだ。
Web上ではサクッと読みやすい文章が好まれる。特に、ちょい長めのボディコピーのチェックには音読が欠かせない。また、キャッチフレーズも見た目と同じくらいに、リズムや語感が知覚のカギになる。憶えやすければそれだけ有利だ。周りに迷惑をかけないよう、声を出してチェックしよう。
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