贅肉が嫌われるのは、人もコピーも同じ?
今回も、ボディコピーなどちょい長めのコピーを書くコツについてお届けする。
「簡潔に書く」。文章作法の鉄則として必ず言われることだ。
ではWebではどうか。もちろん簡潔に書くのは基本だ。そう、間違っていない。ただし、それだけでは不十分。正確に言うとこうなる。「簡潔に!もっと簡潔に!」
理由は連載でも何度も述べてきた。Webの文章は流し読みされる(気になるコトバやフレーズを拾い読みする)。よほど関心がない限り、すべて読まれることはほとんどない。そんな高いハードルを越えていくには、もっと簡潔に書くことは必須である。
だが、そうは言っても……とあなたは困惑するはず。「簡潔に書く」とは、具体的にどのように書けばいいのかよく分からないからだ。
簡潔な書き方にもいくつか鉄則がある。それを紹介する前に、簡潔でない文章を見てみよう。「簡潔」は「簡潔でない」ものを知るとよく分かる。
前回で使った例文を簡潔でない、贅肉だらけの文章に変えてみた。オリジナルと比べてどこに贅肉が付いているのか、見てほしい。
贅肉のついたバージョン
写真も動画も驚くほど鮮やかに映し出します。それを実現したのが510万ピクセルという高解像度を持つRetinaディスプレイです。2,880×1,800の高解像度というのは、比べてみるとハイビジョンテレビより300万も多いピクセル数を持っており、つまりピクセル密度がとても高いということを意味し、そのため画像は細部までシャープに映し出され、したがって再現力はいちだんと現実に近づきました。
オリジナルバージョン
写真も動画も驚くほど鮮やか。それを実現したのが510万ピクセルを持つRetinaディスプレイです。2,880×1,800の高解像度、つまりハイビジョンテレビより100万も多いピクセル数を持っています。ピクセル密度がとても高いので、画像は細部までシャープに映し出され、再現力はいちだんと現実に近づきました。
贅肉のついたバージョンを読むとイラッとするでしょ? スラスラと読めないし、話の要点が分かりにくい。書かれてある内容は正しい。しかし、伝え方がまずいと読む気が失せるどころか嫌われてしまう。話を聞いてもらえる機会を失うというわけだ。
どこがいけないのか。太字で示した箇所が簡潔さを壊している贅肉だ。
贅肉部分を太字で示したバージョン
写真も動画も驚くほど鮮やかに映し出します。それを実現したのが510万ピクセルという高解像度を持つRetinaディスプレイです。2,880×1,800の高解像度というのは、比べてみるとハイビジョンテレビより300万も多いピクセル数を持っており、つまりピクセル密度がとても高いということを意味し、そのため画像は細部までシャープに映し出され、したがって再現力はいちだんと現実に近づきました。
まず「~という」がしつこい。使わなくて意味が通じるなら省くこと。3番目のセンテンス「2,880×1,800の~」が長すぎる。120字近くもある。長い分、内容もいろいろと詰めこまれており、何が重要なのか分かりづらい。
他には「したがって」、「そのため」というつなぎコトバが邪魔。これも必要ない。「高解像度」も1回で十分。冒頭の「映し出します」もあった方が親切だが、無くても通じるし、センテンスも強調される。コピーは、国語で習った清く正しい文章である必要はない。
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