今、まさにオーディエンスの質を獲得する時代が到来した
「SUUMO」に「HOT PEPPER」「リクナビ」「ゼクシィ」など、生活や人生に密着したさまざまな情報サービスを展開するリクルート。当然ながら、各サービスのWebサイトは重要な顧客接点になっている。それらサイトへの集客の過程で蓄積したノウハウを、同社媒体の利用提案も含めて他社に提供しているのが、リクルートマーケティングパートナーズのアド・オプティマイゼーション室だ。
2009年より同室に在籍し、4年に渡り最新アドテクノロジーの導入をリードしてきた須藤憲司氏は、「ネット広告市場はバナー広告枠を買う時代からサーチの時代を経て、今まさにアドテクでオーディエンスの質を獲得しようとする時代を迎えている。一方、広告主サイドもインプレッションやCPCなどからROASを求める傾向へ、つまり投資対効果をシビアに見るようになってきた」と、近年の変化を語る。
アドテクノロジーに携わり始めた頃、須藤氏は市場の最先端を学ぶべく、アメリカへ視察に訪れた。その際、日本では今やっと広がりつつあるRTBの仕組みがすでにさかんに導入され、予算配分の最適化やキャンペーンのレコメンデーションまでマネジメントするツールが使われている状況を目の当たりにし、大きな衝撃を受けたという。
技術が進むからこそ重要になるマーケターの視点
「技術やツールはどんどん進んでいく。だからこそ、それらをどう使いこなすか、マーケターの着眼点が効いてくる時代になると感じた」と須藤氏は振り返る。
米国で得た刺激を元に、アド・オプティマイゼーション室では2010年より本格的に、さまざまなアドテクノロジーを自社の各種Webサイトへ導入し始めた。「約4年間で、実に100億円を費やしている。そこで学んだ“意外な落とし穴”とノウハウを役立てていただければ」と須藤氏。まず“意外な落とし穴”として、6つの項目が順に挙げられた。
1、データ活用には社内他部門との調整が必須
2、セグメント拡張は手間、またはシステム負荷が大きい
3.第三者配信サーバーの導入コスト増を吸収する効果をいかに出すか
4.入稿や設定などの単純業務に工数をとられ、最適化のための付加価値業務を圧迫
5.効果改善のための業務にどれだけ時間を使えているか
6.コストとトラッキングコードの管理ができているか