スポーツ競技データ作成の現場
5月27日・28日に行われたガートナー ジャパン主催「ビジネス・インテリジェンス&情報活用サミット2013」で、データスタジアム株式会社が「スポーツデータビジネスについて」と題して講演を行った。まず、データスタジアム株式会社 取締役 大野 淳氏が登壇。スポーツ競技データの作成と活用がどのように行われているのかを、野球とサッカーを中心に解説した。
「スポーツは生身の人間が体をぶつけあって勝敗を決めるものだが、勝つためにデータを使うのが、あたりまえの時代になってきた」と大野氏は語る。野球では「スコアブック」があり、試合の経過を記録することは以前から古くから行われている。では、同社が提供する「スポーツ競技データ」はどのように作られているのか。
データ作成のベースとなるのは、野球場で行われている試合の映像。それを見ながら人力で入力し、同社のアナリストがニーズに合わせて分析して、チームやメディアに提供する。
プロ野球では、一球ごとに10項目のデータを入力。コース、球速、球種、打撃結果、打球性質、打球位置、打球ランク、捕球順、作戦、補足情報のデータを入力し、リアルタイムに分析する。1試合あたり約300球と言われていることから、1試合に約3000データたまる。1シーズンあたりの投球総数は約25万球とも言われていることから、膨大なデータが毎シーズン記録されていく。
野球のように一球ごとの投球間隔がないサッカーの場合はリアルタイムでの入力は難しい。映像を見ながらフィールドを表す座標軸の上にプレーをプロットしていく。試合時間は90分間。1試合あたり約2000プレー、1試合あたりの全作業時間は10時間ほどかかるという。1シーズンあたりのデータ総数は約137万プレー(J1・J2全686試合)にものぼり、まさに「スポーツビッグデータ」ともいえる情報がサッカーのフィールドから生み出されている。
楽天のデータ活用はサッカーチームの運営にも
データスタジアムがデータを取得しているのはプロ野球、Jリーグ、ラグビートップリーグの3競技。プロ野球では、ほぼ全球団との契約実績がある。
Jリーグは、40クラブ(J1が18チーム、J2が22チーム)があるなか、半数以上のクラブと契約。三木谷氏率いる楽天グループは2012年2月に「ビッグデータ部」を創設し、グループ全体でビッグデータ分析に取り組んでいる。「その姿勢はサッカーチームの運営にも及んでいるようだ」(大野氏)。