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ジェイ・コウガミの“デジタル音楽の新潮流”

徹底したパーソナル化、アメリカで一人勝ちした音楽サービス「Pandora」


Pandoraの大きさを示す3つの側面

 ではPandoraはどのくらい大きなウェブサービスなのでしょうか? Pandoraの規模を実感できる側面をここで3つ挙げてみました。1つ目はユーザー規模。2つ目は対応デバイス。3つ目は広告ビジネスです。

 2005年に本格的に一般向けネットラジオ事業に参入したPandoraは、現在登録ユーザー数が2億人以上月間アクティブユーザー数は2013年10月で7090万人に達しています。世界中で使われているTumblrやInstagramの登録ユーザー数が1億人規模ですので、相当な数のユーザーを獲得していると言えます。

 またPandoraはアメリカで視聴されるラジオのシェアの約7~8%を獲得しています。地上波ラジオ放送が80%以上を占めるアメリカでは、単独のネットラジオとしては最大のシェアになります。さらにネットラジオの市場においては、70%以上のシェアを獲得している業界最大のサービスなのです。

 2つ目はPandoraが聴けるデバイスの数です。ラジオはリビングやベッドルーム、車の中など聴く場所を問いません。Pandoraのデバイス連携は、そんな誰もが経験のあるラジオ体験をネットを介して実現してしまいます。

 PCはもちろんiOS、Android、Windows Phone向けのアプリと、日常利用が多いスマホとタブレットへの対応にいち早く対応してきました。iOSではPandoraアプリは最も人気のあるアプリのトップ10に入るほどダウンロードされています。覚えている人もいるかもしれませんが、アップルが「iPhone 4」を発表したとき、故スティーブ・ジョブズがデモに選んだアプリのひとつがPandoraなのでした。

 次に挙げられるデバイス連携は自動車です。アメリカ人は車社会。多くの場合、移動に車が欠かせません。そして車中のエンターテイメントといえばラジオ。Pandoraはこれまで23社の自動車メーカーと提携し、100車種以上の車載エンターテイメント・システムにPandoraを搭載してきました。この連携で、リスナーは自宅で聴いている音楽を車の中でもシームレスに聴くことができるようになるのです。

 そしてPandoraがいま力を入れているのは、リビングルームへの進出です。Pandoraは現在スマートTVやBlu-rayプレーヤー、セットトップボックス、PlayStation 3やXbox 360などのゲームコンソール、Sonosなどのコネクテッド・オーディオ・プレーヤーなどと連携し、スマホやPCと同じ設定を変えることなくネットラジオを提供しています。最近ではPandoraは、グーグルが今年に入って発表したホームエンタメ用デバイスのGoogle Chromecastとの連携も発表しています。

 3つ目の側面はビジネス面での大きさです。広告ビジネスの側面で見ると、なんとPandoraはモバイル広告の売上シェアで、グーグル、フェイスブックに次ぐ世界第3位に入る企業なのです。音楽サービスやコンテンツ配信系サービスでこの規模のシェアを獲得している企業は他にはありません。

 また米国のモバイル・ディスプレイ広告売上のシェアでもフェイスブック、グーグルに次ぐ3位に入り、ツイッターやアップルのiAdの上を行っています。

 Pandoraはリスナーの視聴動向をデータベース化しているため、デモグラフィック属性に応じた広告をPCやスマホに表示することができます。マクドナルドやフォード・モーター、P&Gなどのナショナルブランドから、ITや旅行など専門分野に特化した企業、さらにはローカルな企業まで、幅広い広告主を獲得してターゲットに対して効率よく広告を打っています。

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世界への広がりと今後の展望

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ジェイ・コウガミ(ジェイ コウガミ)

海外の音楽とテクノロジーの動向を追いかけるブログを書いています。デジタル音楽をテーマに、Spotifyなどの音楽ストリーミングサービスや音楽サービス、新しいテクノロジー、業界の最新動向、クリエイティブなデジタルPR事例、企業の音楽マーケティングなどをいち早く日本で紹介しています。米国オレゴン大学卒。雑誌やオンラインで音楽関連の寄稿記事を書いています。

Twitter: @jaykogami
Facebook: jaykogami
ブログ:http://jaykogami.com

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/11/29 11:29 https://markezine.jp/article/detail/18900

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