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ブランドを「経営の核」に据えているか? レイ・イナモト氏から日本企業への問題提起

 機能の優位性はすぐに模倣され、多額の広告費を投じたストーリーさえも響きにくくなった現代。今、「信頼性」こそがブランドを差別化する鍵を握っています。本記事では、新刊『ブランド・シフト 「信頼」で選ばれる時代の成長戦略』の著者であり、I&CO創業パートナーのレイ・イナモト氏にインタビュー。グローバル市場で日本企業が生き残るための、「ブランド構築」の本質に迫ります。

日本企業は“愛されるブランド”へと成長しきれていない

── 新刊の中でも印象的だったのが、日本企業に対して「多くの企業が“良いものを作るメーカー”にとどまり、“愛されるブランド”へと成長しきれていない現実がある」と問題提起されていたことです。まずはグローバルと日本の双方を知る立場から、日本企業のブランドに対する意識の「現在地」を伺いたいと思います。

 3年ほど前まで、経営者の口からブランドという言葉を聞くことはほとんどありませんでした。「ブランディングは宣伝部やマーケティング部門の仕事」という認識が強く、経営とは切り離して捉えられていたのです。ところがここ2〜3年で、その空気は大きく変わってきました。

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I&CO レイ・イナモト氏
Creativity誌の「世界で最も影響力のある50人」やForbes誌の「世界の広告業界で最もクリエイティブな25人」に選出され、ニューヨークを拠点に世界で活躍しているクリエイティブ・ディレクター。2016年にビジネスの新開発やブランディングまでを手掛けるグローバル・イノベーション・ファームとして「I&CO(アイ・アンド・コー)」を設立。同社は、ユニクロやアシックスなどのブランドを支援してきた実績を持つ。近著に『ブランド・シフト〜「信頼」で選ばれる時代の成長戦略〜』(東洋経済新報社/2026年5月19日発売)。

 I&COが長年伴走するファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井正さんも、以前から「表面的なブランディングではなく、企業の力としてブランドは大事だ」とおっしゃっていました。そのマインドが、他の経営者にも広がってきた印象があります。

 グローバルで見れば、日本企業の立ち位置は厳しいものです。アメリカのビッグテックを中心に急成長が続く中、日本企業は横ばいのまま。2010年前後まで接戦できていたのに、今では差が明白になってしまいました。

 ただし、例外もあります。ユニクロは、インターブランドが発表する世界のブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2025」に初めて選出され47位にランクインしました。また、トヨタも上位を維持しています。これは、表面的な「ブランディング」ではなく、「ブランド構築」に経営目線で向き合い続けてきた結果でしょう。

「ブランディング」と「ブランド構築」は何が違うのか

── 「ブランディング」と「ブランド構築」という言葉を意識して使い分けていらっしゃいますね。どんな違いがあるのでしょうか。

 「ブランディング」は、ブランドのミッションやコンセプトを視覚的・言語的に具体化するアプローチで、あくまでも手法です。よく、業績が振るわないときに「ブランディングを強化しよう」と、ロゴや色を変えてイメージを刷新しようとしますよね。

 もちろん、私もデザイナーですからそういった作業は好きですし、ブランドの立ち位置を明確にするために大切なことです。しかし、ブランドの本質はもっとコアにあります。表面だけ変えても長続きしません。

 一方「ブランド構築」は、ブランドを経営の中核に据えることです。柳井さんや豊田章男さんのようにトップが経営課題として意識し、一社員までその理念を徹底できてこそ、ブランドは組織に浸透していきます。

 「良いものを作ったから、あとはブランディングとマーケティングでなんとかして」では遅い。ものができてから渡されても、できることには限界があります。プロモーションやストーリーテリングだけに頼っていては、その域を出られないのです。

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ストーリーから信頼へ。透明性の時代にブランドが変わった

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この記事の著者

竹上 久恵(編集部)(タケガミ ヒサエ)

早稲田大学文化構想学部を卒業後、シニア女性向けに出版・通信販売を行う事業会社に入社。雑誌とWebコンテンツの企画と編集を経験。2024年翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/04/16 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50319

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