リアルタイムでアクションを起こせる技術「BrightTag Fuse」
MZ:先ほど「Fuse」という技術が挙がりましたが、この導入が今回の提携拡大のポイントなのですね。
山﨑:そうですね。ブラウザだけでなく、スマホアプリやCRM、POSシステムといったあらゆるチャネルからタイムラグなくデータを収集し、マーケティングにつなげる活用できる技術です。私が昨年2月に当社への参画を決めたのも、リアルタイムでチャネルやデバイスを横断してマーケティングアクションを起こせる点が、チャレンジングであり今後の可能性を秘めた領域だと思ったからです。
高田:リアルタイム性は、今後のマーケティングに欠かせないと考えています。この精度を高めることで、まるで対話をするかのようなユーザーとのコミュニケーションが可能になります。
こうして生で会話をしていて、例えば私が3秒も沈黙したら相当な違和感がありますし、会話の流れも止まりますよね。それと同じで、せっかく瞬時にユーザーのデータを取得できても、それらをつなげて新しいメディアプランを立てるのに2か月も3か月もかかっていては、データの価値を毀損してしまいます。
MZ:まさに会話のようなリアクションを実現すると。
高田:リアクションは早ければ早いほどいい。マーケティングは本来、そういうことを目指す活動だと思います。教科書通りの言葉遣いのようですが、オムニチャネルでリアルタイムのワントゥワンマーケティングが可能になるのです。
日本でのオムニチャネルの展開は世界に先駆けた事例に
MZ:チャネルをまたいだデータの連携ができるようになると、例えばビデオ広告で反応が高かったクリエイティブをメールマーケティングに応用する、といったことが簡単に瞬時に可能になるわけですか?
高田:そうですね。それに、広告ツールの数だけデータソースがある状態と比べると、当然ながらコスト削減にもなります。個別のテクノロジーに頭を悩ます必要もありません。マーケターとして「誰にどんなメッセージを送るべきか」を考え、その実現に注力することができます。
そうして生まれたクリエイティブは、広告というより情報やエンターテインメントに近い、顧客に役立つものになると思います。
山﨑:チャネルごとにマーケティングのセオリーや手法は進化してきましたが、今までは個々に閉じていて、それらをスムーズに連携させるのは難しかったのが実状です。ようやく今、技術の進化とともにそこに着手でき、チャネルをまたいだソリューションが提供可能になりました。特に今回ヤフーと提携することで、アメリカでも実現していない規模の事例が得られると期待しています。
MZ:日本市場での展開が、世界に先駆けた事例になるということですか?
山﨑: ええ。アメリカはメディアが分散しているので、ヤフーのような存在がありません。日本におけるヤフーのリーチとビジネス規模に、われわれの技術が掛け合わされれば、大きなシナジーが生まれると思います。