運用担当者向けに考えて作りこまれた操作感が魅力の「Marin Enterprise」
最初に紹介するプラットフォームはマリンソフトウェアジャパンが提供している「Marin Enterprise」です。まず見るべきポイントは、米国で多くの代理店、広告主が導入していることからも実証済みの、その操作感でしょう。
キーワードの量やリターゲティングの配信リストが膨大になると、運用型広告担当者の業務は煩雑さを増します。キャンペーン管理ツールはそういった煩雑さを軽減し、分析や最適化などに時間を費やすことができるようにするところにその価値の一端があるわけですが、そのUI、対応しているメディアの豊富さも含めて、マリンソフトウェアのツールの操作感は、複雑化する運用管理作業の軽減を強く意識したものとなっています。
たとえば普段の業務に必ず出てくる「バルクシート」の作成。リスティング媒体へのアップロードに必要な、アカウント、キャンペーン、広告グループ、キーワードなどさまざまなコンポーネントを含んだExcelシートは、正確に記入するだけでも一日がかりになってしまうことすらあります。「Marin Enterprise」では独自のアップロードテンプレートを使うことで、媒体またぎ、アカウントまたぎでの一括入稿を実現。時間がかかる媒体へのアップロード作業を軽減するさまざまな工夫を見ることができます。
多種多様なレポートをインポートできる柔軟性
さらに特筆すべき特徴に「レポート機能」があります。「Marin Enterprise」にも、非常に多くのデータをわかりやすいレポートとして抽出できる機能があります。たとえばアトリビューション分析をする際に、コンバージョンに至った広告接触(クリック)について、モデルを適用するのではなく、任意の比率で重みを配分しレポート抽出するなど、高度な分析をすることも可能です。
さらに、レポート機能の特徴として、Adobe Analytics(SiteCatalyst)やGoogle アナリティクスのデータを取り込んだマーケティング分析のダッシュボードとして活用できます。多くの広告主が活用しているGoogle アナリティクスについてはAPIを経由したデータ連携が可能ということもあり、“オープン”なマーケティング管理ツールとしての特色であるといえるでしょう。
マリンソフトウェアジャパンは、日本においてこうした連携などをサポートする体制も準備しており、さまざまな連携をスピーディーに進めることができるのもポイントとして挙げられます。
「フォルダ」で分類するハイブリッド型自動入札
そしてマリンソフトウェアの最大の特徴といえば、「ハイブリッド型」と呼ばれる独自の自動入札機能でしょう。一般的には自動入札の手法として「ルールベース」と「ポートフォリオ」の2種類があることは連載第4回でも紹介しましたが、マリンソフトウェアの場合、その両者の特徴を併せ持った「ハイブリッド型」と呼ばれる入札機能を提供しています。
ポートフォリオ入札の場合、データが十分に蓄積されなければ予測値を計算することができないという課題がありますが、マリンソフトウェアの場合はベイズ推定を用いてボリュームの少ないキーワードでもある程度の予測値を算出することができます、そして「フォルダ」と言われるキーワードのグループに対して、設定された目標値に基づいてCPCを計算するという動きになっています。
フォルダごとの目標値ごとにそれぞれのキーワードのCPCを調整するためのポートフォリオでもなく、かと言ってルールベースでもない自動入札機能。キーワードの分類というマーケターとしての感覚的な部分とアルゴリズムが同居する、ある意味で合理的な機能だといえるでしょう。