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Yahoo!広告活用の今を追う(AD)

「スマデバ上でもリッチ広告を」前例がない中で進む広告プロダクト開発の舞台裏

 「マーケティングイノベーション室」の設立、広告ソリューションのリニューアルと、近年まさに“爆速”でドラスティックな変革を続けているYahoo! JAPANによる本連載。今回はYahoo! JAPANにおけるスマートデバイス上でのリッチ広告の在り方やその今後についてを同社の高田 徹氏、高城 梨理世氏に聞いた。

ヤフー株式会社 マーケティングソリューションカンパニー エグゼクティブユニットマネージャー 高田徹氏(写真左)マーケティングソリューションカンパニー ディスプレイ広告ユニット スマデバプレミアム広告 サービスマネージャー 高城 梨理世(写真右) ヤフー株式会社 マーケティングソリューションカンパニー エグゼクティブユニットマネージャー 高田徹氏(写真左)マーケティングソリューションカンパニー ディスプレイ広告ユニット スマデバプレミアム広告 サービスマネージャー 高城 梨理世(写真右)
ヤフー株式会社 マーケティングソリューションカンパニー
エグゼクティブユニットマネージャー 高田 徹氏(写真左)
ディスプレイ広告ユニット スマデバプレミアム広告
サービスマネージャー 高城 梨理世氏(写真右)

スマートデバイス時代におけるYahoo! JAPANの現状

MarkeZine編集部(以下MZ):今や日本人の2人に1人がスマートフォンユーザーと言われ、世の中はスマートフォン時代へと移行しつつあります。そんな中でのYahoo! JAPANにおける状況はどうなっているのでしょうか?

高田:Yahoo! JAPANの現状をお話しする前に、スマートデバイスについての特徴について少し補足できればと思います。まず、スマートフォンは場所を選ばずに、いつでもどこでも利用できます。また、同時にネットユーザーの行動の起点になっています。例えば、日中出先で買いたい商品についてスマートフォンで検索し、自宅に戻ってからPCで商品比較。そして、夜寝る前にタブレットで購入するなど。複数端末を引き継いだ行動がスマデバ時代の特徴です。また、約8割のスマートフォンユーザーは、ほぼ毎日ウェブサイトやホームページを閲覧しています(※1)。

 あまり皆さんご存じでないかもしれませんが、スマートフォン版Yahoo! JAPANにおいても、月間総ページビュー約230億PV、月間ユニークブラウザ約2億500万UB、月間ユニークブラウザ(トップページ)約9,650万UB(※2)と多くの方にご利用いただいています。

 2012年中旬から今年までのスマホ利用状況について確認してみても利用回数、利用時間、PV数、検索数ともに右肩上がりで増加傾向にあります。また、スマートフォン利用者の73%がYahoo! JAPANのサービスを利用しているという結果もわかっています(※3)。PCのみならず、スマートフォンでもYahoo! JAPANはたくさんの方にご利用いただいております。また、デバイス特性によりYahoo! JAPANに求められるもの、われわれの役割も変化してきていると感じています。

※1. Yahoo! JAPAN自社調べ(2014年7月)
※2. Yahoo! JAPAN自社調べ(データの対象期間は、2012年9月~2014年5月)
※3. ビデオリサーチインタラクティブ「SmartDevice Contents Report」2014年9月データを元にスマートフォンにおいて「Yahoo! JAPAN」の32のサービスのいずれかを「月1回以上利用している」と回答した利用者の割合

Yahoo! JAPANの役割に変化

MZ:コンテンツにおける消費のされ方の変化や、またその変化の中でYahoo! JAPANの役割は変わってきているのでしょうか。

高田:PCがメインであった時代のYahoo! JAPANは、インターネットの中にある良質なコンテンツが掲載された場所であるとともに、さまざまな場所へユーザーを送ることが大きな役割と言えました。その結果、ページビューがサイトの価値を示す大きな指標の1つとして定着しました。

 一方スマートデバイスのユーザーは、PCに比べよりライトに情報を消費します。また各サービス間でのシェア争いも激しく、サービス提供側としてはいかにサイトを閲覧してもらい、長い時間過ごしてもらえるのかが重要になってくると感じています。

 そのようなスマデバユーザーに対して魅力的なコンテンツを提供することで、Yahoo! JAPANでたくさんの時間を過ごしてほしいと考えています。そのため、サイト滞在時間のような指標が大切なKPIになると感じています。

スマートデバイスならではの広告商品

MZ:魅力的なコンテンツ提供を検討する中で、当然広告もそれに合わせた新しい商品の開発・設計が必要になってくると思います。特に御社の場合はPC向けに多くのリッチ広告商品をお持ちですが、スマートデバイス向けリッチ広告についてどのようにお考えでしょうか。

高田:まず、当たり前の話にはなりますが、PC、タブレット、スマートフォンは画面サイズが異なります。それはつまり、広告の専有できる面積がデバイスごとに異なるということを指しています。ユーザー視点で見れば、スマホ上でディスプレイ広告に専有されたサイトをみたいと思う人はまずいません。そういった意味では「枠ありきの発想」「専有面積ありきの発想」とは違う視点からの広告商品の設計が必要になると考えています。

 そのような前提に立つと、画面サイズという制約条件がある中でいかにユーザーの興味関心が湧くような広告商品を開発できるか、という点がポイントになってくると思います。当社でも試行錯誤の最中ですがスマートデバイスでのリッチ広告に特化した広告商品の開発を担当しているのが高城です。

事例がない中で試行錯誤を進める

MZ:高城さんのバックグラウンドや、いま担当している業務を教えていただけますか。

高城:私はYahoo! JAPANに入社して5年目となります。入社して以来ずっとプレミアム広告に携わっておりましたが、今年からスマデバ領域に特化した広告商品を担当するようになりました。現在は日々開発、営業、商品企画などの部隊と横断的にやり取りをしています。

 スマートデバイスにおける他社の状況を見るとスマデバ上での広告商品はパフォーマンス目的のものが多く、世界を見渡してもブランディング目的の広告商品がない印象です。スマートデバイスでも記憶に残る広告をというのがYahoo! JAPANのスマデバプレミアム広告が目指すところです。私たちとしてもどのような広告が最適なのか、その答えを今まさに模索している状況です。

MZ:そのような状況の中でヒントは見つかりつつあるのでしょうか。

高城:高田からもあったとおり、スマートデバイス上での広告の専有面積は限られるので、その制約条件の中でスマートデバイスならではの機能を活かすという点がポイントだと感じています。スマートフォンの特性を活かしつつ、面積以外で注目を集められる仕掛けという視点から上半期は広告フォーマットの拡充を進めました。

 また、そもそもの話ですがYahoo! JAPAN=PC向けサービスという印象があるように見受けられます。しかし実態はスマホサイトのPVは増えていますし、ニュースアプリにいたってはYahoo! JAPANの公式アプリや、Yahoo! JAPANのニュースアプリの利用率が他を圧倒している状況です(参考:株式会社 ICT総研「2014年度 モバイルニュースアプリ利用動向調査」)。

 Yahoo! JAPANのサービスがスマートデバイス上でも利用されているという現状についてまだまだ認知されていない状況だと感じておりますので、販促の部分を含め、よりアピールする必要があると思っています。

スマートデバイスならではのリッチ広告フォーマット

MZ:スマートデバイス向けの広告フォーマットを拡充されたとのお話がありましたが、具体的にはどのようなフォーマットを開発されたのでしょうか。

高城:はい。スマデバならではの「インタラクティブ性」「便利な情報の探求」「長い接触時間」を活かしたうえで、そこに多様な広告表現を組み合わせて、スマートフォンならではの広告体験を提供するというところをコンセプトにフォーマット開発に取り組んできました。

 広告フォーマット拡充においては、大きくは2つの流れがあります。1つは、リッチラボというスマデバリッチ広告開発を行う新会社を発足して自社開発しているもの。もう1つは、Celtraといった米国で豊富な実績を持つベンダー企業が提供するフォーマットとの連携です。

 広告フォーマットについては、多彩な表現でエンゲージメントを深められるものから、シンプルにメッセージを届けられるものまで広告主様の目的に応じてご利用いただけるよう商品ラインアップを用意しています。スクロール、スワイプ、ジャイロ機能(スマホを傾けた際に、ジャイロセンサーの傾きに応じて画面が変化する機能)など、スマホならではの機能を活用した複数の広告フォーマットで提供しています。ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。

エキスパンドスクリーン

 トリガーバナーをタップすると、大型エキスパンドパネル上で広告が展開される広告フォーマット。インラインビデオ、スワイプなどエキスパンドパネル上での多彩な表現により、エンゲージメントを高めユーザーの興味を喚起した状態でランディングページへと誘導できる。長時間かつ能動的なコミュニケーションが可能。

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3D

 デバイスを上下左右に傾ける動きに連動して、見える範囲が変化し奥行きのある広い空間を表現することができる広告フォーマット。空間をのぞき込むような動作を促すことで、商品やサービスを体感させ、ユーザーに対して強い印象を残すことができる。

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 ジャイロによって画像が3Dのように変化するので、商品やサービスの世界観を表現したり、内装をみせたりなど、自由な広告表現が可能。

プライムウィンドウ

 リッチラボで開発した、スマートフォン向けブランド広告。ページの背後にある大きなバナーの一部を可視領域にすることで、スクロールしているユーザーへ「何か隠れている・気になる」という興味を喚起することができる。スマートフォンユーザーの「スクロールする」という行動に合った訴求を可能にするだけでなく、興味を持ってアクションしたユーザーに対しては最大サイズの画面でダイナミックな訴求も可能。

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 このフォーマットは、10月に「2014年度グッドデザイン賞」を受賞するという評価もいただいています(ニュースリリース)。

 これまでの広告商品の開発は、まず掲載面があり、そこに広告を当てはめるという順序での設計が多かったと思いますが、スマートデバイス時代のリッチ広告は、ユーザーに不快に思われないという視点を持つことが非常に重要です。Yahoo! JAPANの媒体力に加えて、フォーマットもそろってきているので、次はどこの場所に配置すると最も効果的なのかを探っていくフェーズだと考えています。

スマデバ上でもブランディング広告を

MZ:これからも広告フォーマットを拡充されていくと思いますが、今後の取り組みについて教えてください。

高城:まず、スマートデバイス上でのYahoo! JAPANの各サービスの媒体力をしっかりと伝えるとともに、スマートデバイス向けリッチ広告の具体的な掲載面をどこにするのかを深堀りしていきたいと考えています。

 一方でクリエイティブという側面からは、通信環境などもふまえ、画像や動画のデータ容量の許容範囲がどこまでなのかも見極めていきたいと考えています。また、その延長線上の話としてスマホアプリのマネタイズにも積極的にチャレンジしていきたいです。

 PC向けのブランディング目的の広告商品は、私たちYahoo! JAPANが作りあげてきたと自負しています。同じようにスマートデバイス上でのブランディング目的の広告商品を作っていきたいと考えておりますので、ぜひ活用いただきたいと考えております。

高田:スマートデバイスならではの要素とYahoo! JAPANならではの媒体力を組み合わせることで、これまでにないリッチ広告を生み出せると考えていますが、今はまさに産みの苦しみの最中です(笑)。

 ただ、先ほども申しあげたとおり画面サイズという制約条件のある中での取り組みとなるので、それを突き詰めて考えると看板系広告、いわゆるディスプレイ広告のあり方自体も問われる時代になるかもしれません。変化はチャンスでもあるので、われわれとしては臆せずにスマートデバイス向けの広告商品の開発を進めていきたいと考えております。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2014/12/05 11:00 https://markezine.jp/article/detail/20829