ライオンのデジタルマーケティング戦略
10月23日、ライオンは六本木ヒルズで、新たなデジタルマーケティング戦略についての発表を行った。ライオン株式会社 宣伝部 デジタルコミュニケーション推進室長の保坂政美氏は、スマートフォンの普及、ソーシャルメディアの成長など生活者のメディア接触環境が変化するにつれて、コミュニケーションが質的に変化していることに触れ、新たなデジタルマーケティング戦略が必要であると述べた。
その4本柱となるのが、以下の取り組みである。
1. オウンドメディアの再構築
2. アーンドメディアの活用
3. ペイドメディアの運用
4. 社外パートナーとの取り組み
そして、これらの中心にあるのはDMP(データマネジメントプラットフォーム)の構築だ。生活者がどんな広告や情報を見て、どんな商品を購入したかといったさまざまなデータがこれまではバラバラに保存されていた。これらの分断されたデータをDMPに入れることによって、オンラインとオフラインのデータ、自社データはもちろん第三者データも統合して分析。その結果をもとに限りなくOne to Oneに近い施策を展開する。
保坂氏はまた、社外パートナーとのメディアコンテンツ連携の構想についても触れた。生活者は家電、住宅、衣料品、EC、メーカーサイトなどさまざまなサイトを訪問している。メディアサイト、キュレーションアプリ、クックパッドのようなサイトを含め、生活者が見ているサイトとライオンがパートナーとして連携し、コンテンツを提供。これによってオウンドメディアに接触する機会を増やしたいと語った。
生活情報を届けるオウンドメディア「Lidea」
ライオンは同日、新たな生活情報メディア「Lidea(リディア)」をリリース。ライオンの「暮らしのマイスター」と呼ばれる5人のスペシャリストが、オーラルケア、ヘルスケア、洗濯、リビングケアなどについての専門知識をもとに生活者の疑問や悩みに答えたり、日々の彩りとなるようなエンタメコンテンツを展開する。
ユーザーインターフェイスは、生活のさまざまなシーンで利用しやすいようスマートフォンに最適化。Lideaの情報を見て商品を購入できるよう、ブランドサイトへの導線も用意されている。トップページにはDMPを活用した独自のデータ解析によるレコメンドを行い、利用者一人ひとりに合ったコンテンツを表示。また、会員登録によって暮らしのマイスターへの質問、記事へのコメントの投稿、キャンペーンの応募が可能になる。
ライオンのデジタルマーケティングを支える4社
最後に、新たな生活情報メディアを支える最新テクノロジーについて、ライオン株式会社 宣伝部 デジタルコミュニケーション推進室 中村大亮氏が説明した。
中村氏は、一方的なものに陥りがちだった生活者とのコミュニケーション設計の根幹をあらたに見直すため、戦略面ではDMPによってデータを集約し、意思決定ができるよう可視化。戦術面では、BIツールをDMPとセットで導入し、顧客のインサイトを可視化してグループに分類。生活者一人ひとりに、いつ、どんなコンテンツを表示するか最適化を行うと語った。たとえば、メールマガジンのコンテンツのパーソナライズ、広告ではクラスターにもとづく広告配信を実施して的確で邪魔にならない広告配信を実現する。
続いて、こうした体制を支える外部パートナーとして4社の代表を紹介。DMPはロックオン、DSPによる広告配信では、フリークアウトとスケールアウト、そしてネイティブ広告についてはログリーと組む。また、コンテンツネットワーク構想については、現在コンテンツパートナーとして、百貨店に向けて衣料品の洗濯に関する情報提供を行うなど、新たな試みに向けて動き始めていることを明らかにした。
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