広告が無視される状況の解決策として、注目されるネイティブアド
前回の記事では、コンテンツマーケティングをはじめとしたオウンドメディア、ネイティブアドを活用する際に戦略設定上で注意すべきポイントについて解説しました。今回はコンテンツ作成における2つの疑問「メディアと企業、どちらがコンテンツを制作し、またディレクションすべきか」、そして「どのような内容や気付きを与えるコンテンツにすべきか」について一緒に考えていきましょう。
ではまずは、ネイティブアドのおさらいからはじめましょう。ネイティブアドを簡単に説明すると、メディアに馴染んだ形式で提供される広告です。ネイティブアドが注目される背景には、スマートフォンの普及などによる生活者のデジタルへの接触時間の拡大やコンテンツのインフレなどにより、企業から生活者へのメッセージ、すなわち“広告”が届きづらくなったことがあります。
少し言い方を変えると、今までの広告は企業側が広告制作を行い、生活者と密着しているメディアの広告枠に企業から生活者へのメッセージを表示する形式をとってきました。テレビCMをはじめ、ディスプレイ広告もこれにあたります。つまり、”見たいコンテンツを見るためにメディアに接触したユーザー”が広告を見る形式でした。
しかしながら、昨今では生活者がしばしば広告を無視するようになり、「メディア枠に自社の広告を流す」こと以外の方法が求められるようになってきたのです。そこでメディアに用意されている広告枠に広告を流すのではなく、ユーザーがメディアに訪れた目的である「コンテンツ」と馴染んだカタチで広告メッセージを届ける、ネイティブアドのコンセプトに注目が集まっているわけです。
広告を良質なコンテンツへ。そのカギを握るのは誰か。
さて、では本題に入っていきましょう。ネイティブアドのコンテンツは、いったい誰が作るべきなのでしょうか?先ほどのコンセプトから導き出される答えとしては、メディア側と言えます。特にスポンサードポスト・記事体広告・タイアップ広告といったコンテンツ型のネイティブアドの場合、メディア側が作るというのが鉄則になります。
ネイティブアドはメディアとユーザーの信頼関係によって成立しています。信頼関係とは「信頼できる情報源」であり、「示唆や感性を満足させてくれるコンテンツ」を継続的に提供し続けることで構築されていきます。読者に誤認させないように「広告表示」をすることはもちろんですが、記事広告であろうと記事であろうと、読者がメディアに期待するコンテンツとして配信しなければならないのです。これが成立しないと、下記のような状況に追い込まれます。
●メディア側は読者の信頼を失うこととなり、読者数が減り、ネイティブアドの効果が落ちる(誰も見てくれなくなる、見たとしても信用しない)
●広告主側もメッセージが届かずコストの無駄遣いになる
●好きなメディアに余計なコンテンツが増えてわずらわしく感じたユーザーの離反が起きる
このような理由から、コンテンツの切り口や構成といったところからキャスティング・文体・写真などは「読者を知り尽くしているメディアに任せるべき」となります。企業側では、どうしても伝えたいことや絶対に譲れないポイントなどを事前に伝え、後はメディア側が切り口を考える上で参考になるような材料を提供することが重要になります。そうすることで広告的なメッセージがコンテンツとして生まれ変わり、ユーザーに浸透していったり、数多くの媒介者(ソーシャル・キュレーション・まとめサイトなど)を通じて拡散されていったりするのです。