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マーケティング入門に最適な無料ツール「LeadIn」登場。営業とマーケを融合するHubSpotの現在


「マーケティングソフトウェア」としてのHubSpotの変化

 さて、今回発表されたマーケティングプラットフォーム側のアップデートだが、キーノートでは以下の4つについて紹介された。

  • HubSpot Website
  • HubSpot Ads
  • Predictive Lead Scoring
  • HubSpot Reporting

 これらを画面を交えながら紹介しよう。

HubSpot Website ~エディタを使わずそのまま編集、SSLにも標準対応~

 「HubSpot Website」はHubSpotのCMS上にあったサイト制作と管理のツール「Sitepages」がバージョンアップしたもので、ブラウザで見たままの状態でサイトの文言の変更やちょっとしたスタイルの変更などを行えるようになった。HubSpotのCMSにはSEO対策ツールが標準で付いており、それもこの画面上から確認することができる。

画像提供はいずれもHubSpot(以下すべて同様)。画面上で直接テキストなどコンテンツを修正することができる。
画像提供:HubSpot:HubSpot
画面上で直接テキストなどコンテンツを修正することができる。
画像提供:HubSpot(以下すべて同様)

 私が日本国内の企業40社近くの導入のお手伝いをした中でよく受けた要望として、SSL対応つまり“https://”を利用したいというのがあった。これまでHubSpotは「標準」では対応しておらず、リクエストベースで対応していたが、今回初めてSSL対応となった。しかも設定はツークリックで可能。サイトのSSL対応はGoogleもこれを推奨していることから、これは大きなアップデートと言えるだろう。

HubSpot Ads ~広告もしっかり活用~

 今回発表された「HubSpot Ads」は多くの人が不思議に思うかもしれない。「インバウンドマーケティングの会社が広告なんておかしくない?」と。しかしHubSpotには以前からAdWordsの効果を管理できるツールなどが導入されていたし、彼らのフィロソフィーの根っこは、「人々の邪魔をするようなものは良くない」というところにあるのであって、もし広告が「inboundy」すなわち人々に受け入れられるものであれば、「インバウンディな広告」としてHubSpotの範疇に入る。

HubSpot Adsの画面
HubSpot Adsの画面

 HubSpotが広告関連機能を取り込む可能性は1年前の「INBOUND 2014」から感じていたが、それが今回実現された。それには、HubSpotユーザーの53%が広告も使っているということも背景にあるだろう。特に「LinkedIn」との連携については直接広告も購入できるようになるので、海外向けのB2Bマーケティングを行っている(行いたい)企業にとっては至極便利なツールになるだろう。個人的な予測としては、来年は高い可能性で「ネイティブ広告」と連携することになると思う。

Predictive Lead Scoring ~リードスコアリング機能も充実~

 「Predictive Lead Scoring」は、Marketoなどのマーケティングオートメーションと比べてHubSpotが“弱い”とされてきた部分を埋めるツールである。HubSpot自身は以前よりリードスコアリングの機能をもっていたが、マニュアルでかつ設定に手間がかかった。しかしながら今回の変更で、リードスコアリングを簡単に設計・変更できるようになったとともに、過去のデータなどから「predictive」、つまり予測可能な機能まで追加になったため、HubSpotがようやく他のマーケティングオートメーションと肩を並べることがしやすくなったのだ。

Predictive Lead Scoringの画面
Predictive Lead Scoringの画面

HubSpot Reporting ~自由度の高いレポーティング~

 HubSpotは、複数のマーケティングツールがひとつのプラットフォーム上にあるため、すべてがつながったデータとしてレポートを見ることができる。今回発表された「HubSpot Reporting」は、従来のレポート機能に加え、ユーザー自らチャートのグラフを変更したり、条件設定を変更したり、レポートの並び方を変えたりすることができる機能である。地味ではあるが、レポート機能の強化は、自分たちの見たいデータを自由に見られるだけでなく、マーケターが、よりクリエイティブな作業をする時間を生み出すことにつながるだろう。

HubSpot Reportingの画面
HubSpot Reportingの画面

LeadIn ~インバウンドマーケティングの入門に最適~

 ここまでに挙げた機能が、HubSpotの「マーケティングプラットフォーム」側の大きな機能変更だ。これを一通り説明したあと、ダァメッシュが新しいプロダクトを発表した。それが「LeadIn」である。LeadInは、ブログにメールニュースの登録フォームをポップアップ形式で表示したり、登録した人の再訪問がどのぐらい起きているかを個々人で把握できる。また、MailChimpなどのメールソフトウェアとも連携して、メール配信を行うことが可能になる。

スタートアップや個人事業主も手軽に利用できる新たなプロダクト「LeadIn」
スタートアップや個人事業主も手軽に利用できる新たなプロダクト「LeadIn」
スタートアップや個人事業主も手軽に利用できる新たなプロダクト「LeadIn」

 もともとWordPressのプラグインとして、HubSpotのエンジニアが細々と配っていたものが、正規版として今回発表されたのだが、これは「インバウンドマーケティング入門編」に位置付けられるプロダクトと言える。HubSpotの利用料はもっとも安価なバージョンで月額200ドルだが、スタートアップや個人事業主や小規模事業者などの場合、その金額でも高いと感じることもある。そういった人にたちも「inbound movement」に参加してほしい、という思いから出てきたというのが、いかにもHubSpotらしいと言えるだろう。

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セールスソフトウェアとしてのHubSpot

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この記事の著者

高広 伯彦(タカヒロ ノリヒコ)

博報堂、博報堂DYメディアパートナーズ、電通、Googleを経て2009年に独立。コミュニケーションプラニングや事業開発支援を行う一方、2012年にアジア初のHubSpotパートナーとして株式会社マーケティングエンジンを設立。2013年・2014年と2年連続International Agency of the Y...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/09/28 12:27 https://markezine.jp/article/detail/23111

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