DMPが果たしている二つの役割
データ活用においてDMPが果たしている役割としては大きく分けると二つの役割があります。一つ目がデータを分析してターゲティング用の塊に変換する役割です。二つ目がターゲティング用の塊をマーケティングツールに連携できるID(例えば、CookieやIDFAなどのID)に変換して様々なツールにデータを送り出す役割です。
一つ目のデータを分析してターゲティング用の塊に変換する役割を理解するために、まずはマーケティングに活用するデータの種類について見ていきましょう。マーケティングに活用できるデータは大きく次の五つのデータに分けることができ、それぞれ異なったデータソースからデータを収集して定義を行います。
「サイコグラフィックデータ」
興味関心に関するデータ。検索データやポータルサイトの閲覧などから収集
「デモグラフィックデータ」
年齢や性別に関するデータ。アンケートやネットリサーチのデータ、その他会員情報が保有するサイトなどのデータから収集
「ジオグラフィックデータ」
位置に関するデータ。IPアドレスやGPSの情報を利用する。
「コンテキストデータ」
状況やタイミングに関するデータ。検索データや比較サイトの閲覧履歴などを収集
「自社データ」
自社サイトのアクセスデータや会員のCRMデータ。
どのデータを使うべきかは、実施するマーケティングプランによって異なります。例えば、潜在顧客を定義してターゲティングを行う場合であれば、デモグラフィックのデータをメインで使う、すでに顕在化されたニーズを持つ顧客を狙うのであれば自社データをメインで使うことが考えられます。マーケティングプランによって異なりますが、いずれの場合も、それぞれのデータを組み合わせて最適なターゲットを見つけることが大切です。
IDによって使えるツールは異なる
次に、二つ目のマーケティングツールに連携するために必要なIDについてご説明します。選ぶIDによって使えるマーケティングツールが異なります。
例えば、Cookie情報を活用するのであればアドネットワークやDSPといった広告配信ツールと連携できるようになります。FacebookやTwitterなどのメディアの会員データと紐付けるとメディアの会員に対してターゲティングを行えるようになります。また、住所と紐づくデータを使えばダイレクトメールにデータを活用でき、モバイルの広告用IDを持っていればスマートフォンに対してプッシュ通知を打つことが可能になります。
実際にデータを活用したマーケティングを行う際には、現在のマーケティング課題を明確にし、それに対してデータとマーケティングツールの最適な組み合わせを見つけていき、課題を解決していくことになります。
データ活用の現在とこれから
現在のDMPを通じて行われているデータ活用は、自社で保有しているアクセスデータをDSPなどのネット広告のツールに活用している場合がまだまだ多いです。ただ、最近では自社のデータだけではなく、外部のデータを活用してターゲットの階層化させ、検討段階の浅い顧客には情報量の多いマーケティングツールを通じてアプローチし、検討段階が深い顧客には接触頻度を高めて情報を伝えるといったアプローチも可能です。事実、それを実行している企業も出てきています。
今後はより顧客を詳細に定義することができるデータと、顧客像に合わせるという、より一層データドリブンなマーケティングの重要性が高まってくるでしょう。次回からは、より具体的に「どのデータを使うか」という観点から、データを活用したマーケティングがどのように高度化されていくか、紹介させていただきます。