6年ぶりのUI大改善で得た知見、共有します
みなさまこんにちは。rakumo株式会社でUIデザイン/アートディレクションを担当している田中と申します。今回から4回にわたり、UXプロセスについてお話したいと思います……といきなり専門家のように書き出しましたが、ごめんなさい、私はまだUXについて端的に説明できるほどの理解はありません。
この連載では、UXデザイナーであるネットイヤーグループ坂本 貴史さんのご協力のもとに、私たちrakumoのメンバーがUXプロセスを学んでいく過程で得られた、いろいろな気付きや考察をお話できればと思います。
私たちは、グループウェア「rakumo」シリーズを提供しています。rakumoはクラウドプラットフォーム上(Google AppsやSalesforce)で動作する拡張製品で、2010年に最初の製品「rakumo カレンダー」をリリースしました。そして昨年の10月に、6年ぶりに大幅に機能やUIを一新したバージョンをリリースしました(以降は、新しいバージョンを新カレンダー、古いものを旧カレンダーと呼称します)。
本連載は、6年ぶりの大リニューアルの取り組みと、そこで学んだことを共有するという試みなわけです。第1回目では、まず、私たちがUXを学ぶに至った背景の話をさせてください。
製品の課題とチームの課題
アップデートに至る6年間、旧カレンダーにはさまざまなご意見をいただき、毎月のようにアップデートを重ねてきました。ですが、改善や機能追加作業の常で、内部コードのエントロピー(不規則性・情報量)は増大してスパゲティ化し、解決したくても解決できない問題が増えてきました。そこで、既存の改修ではなく、抜本的にコードを書き直すリニューアルを実施することで、これまで手のつけにくかった課題を解決することにしました。
抜本的なリニューアルという方針がたったことで、普段の修正/改善作業よりも多くの工期を確保できました。今回の新カレンダーの場合では通算で10か月ほどの工期をとりましたが、この工期は、製品の課題だけでなく、チームが抱えていたいくつかの根深い問題にメスを入れる、めったにないチャンスでもありました。根深い問題とは何か ?次のページで具体的にご紹介します。