ATM数を重要視すると回答しつつ、関連ページは閲覧していない現実
――定性・定量アンケートおよび「Web Log分析」では、いつどのようなことをされたのですか。具体的に教えてください。
黒川:アンケートも楽天リサーチさんと行ったのですが、そこで先程触れた矛盾点が気になり、相談したところ「Web Log分析」をご紹介頂きました。
2016年の1月に楽天銀行と競合の4社分について、申し込みというコンバージョンを起点に3ヶ月前まで「Web上でどのような遷移をしたのか」という行動プロセスの分析をしました。
中村:今回はアンケートで得た仮説をもとにWeb Log分析を行ないましたが、Web Log分析を行って、アンケートを取る流れも良いと思います。複数の分析によって、事象を正しく理解できないか? と考える姿勢が重要だと考えています。
――取り組みから、どのような調査結果がわかりましたか? また、その結果を受け、どのような行動を取られたのでしょうか?
黒川:まず、Web Log分析のきっかけとなった「ユーザーのATMの数に対する興味」についてですが、他社を含めた5行の総アクセス数からは、ATMの数に対する関心度はあまり高くないことが判明しました。
つまり、アンケートで重視していると回答されている割に、サイト内でATMの情報は確認されていないわけです。関心はあるのにお客様自身が積極的に情報を見ないということは、「ATMが少ないのではないか」という誤ったイメージを払拭するためには、当社からコミュニケーションを取る必要があると考え、即座に当行のメリットを訴求するページを改善しました。
判明「アプリ関連ページ閲覧者のCVRは非閲覧者を大きく上回る」
中村:予想はしていたものの、アンケートとWeb Log分析の差は大きかったですね。そこで、「オフラインで利用者が重視すると答えた項目に則って、オンラインのコミュニケーションフローを構築すると、コンバージョンに直結するのか?」という疑問に立ち返り、利用者が重視すると答えた全項目のWebページ閲覧状況について自社他社を比較し、PV、UUの違いを分析しました。
黒川:明らかになったことが「アプリの利便性」に対する評価の高さです。もともと楽天銀行では、強みの1つとして「アプリの利便性」は掲げてきたのですが、これまで客観的に調査したことはありませんでした。しかし、Web Log分析の結果では、楽天銀行への口座申込に至った人の3割以上がアプリに関するページを閲覧しており、さらにページを「見た人」は「見なかった人」よりコンバージョン率で大きく上回ることがわかりました。それは他社と比較しても有意差があり、楽天銀行の強みとして多くのユーザーに訴求すべきだと感じました。
中村:口座申込をしたユーザーとしなかったユーザーの行動の違い、さらに何がキーとなってコンバージョンに結び付いたかを解明することができたのは、大変有意義だったと思います。今回の調査ではパソコンのみの結果なので、スマートフォンも含めた調査をすると、さらにもっと明確な差が生まれる可能性があると考えています。
黒川:そうなると、アプリによる利便性を強く訴求するのはもちろんですが、たとえば、支店番号や口座番号がわからなくても振込先のメールアドレスとカナ口座名義だけで振込みができる「メルマネ」、FacebookやViberと連携するとカンタンに振込できるサービスのプロモーションに今まで以上に取り組んでいきたいと思っています。
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