本調査では、企業のIT予算に関する2007年度の実績と2008年度の見通しについて、国内企業5,000社に回答を求め、459社から有効回答を得ている。
企業の売上高に占めるIT予算額の比率は、2001年度(1.3%)の調査開始以来上昇を続け、2006年度には過去最高の3.2%に達したが、2007年度は2.9%と初めて減少。中でも、戦略投資の比率の減少が顕著で、定常費用の負担が企業に重くのしかかっている現実が見られるという。
2007年度の予算実績は前回調査の見通しを下回る低成長にとどまり、「20%以上の増加」と回答した企業は10.9%、「20%未満の増加」は24.0%で、「横ばい」という回答が最も多い49.8%。「20%未満の減少」は12.2%、「20%以上の減少」は3.1%となった。2008年度の見通しは、「20%以上の増加」と「20%未満の増加」を合わせた企業の割合は2007年度よりも拡大し、2006年度の水準に回復すると見込まれている。
IT予算に占める情報セキュリティ対策、災害対策、IT内部統制の費用の割合で回答を得たところ、平均値はそれぞれ14.5%、5.8%、10.2%。前年度との比較では、情報セキュリティ対策への費用は変化が見られないものの、IT内部統制への費用は若干増大し、災害対策の費用は微減。また、企業がIT戦略上で重要視するキーワードについて17項目の選択肢から回答を得たところ、「内部統制や法令順守への対応」を最重要とする回答は、全体の17.1%となり最も多く、「売上増大への直接的な貢献」(16.4%)、「既存システムの統合性強化」(12.5%)、「業務コスト削減」(10.7%)が続いている。
ITR代表取締役の内山悟志氏は、2007年は情報セキュリティなどの“守りの投資”、2008年度はビジネスや経営の高度化に直結する分野へ注力する“攻めの投資”に転じるのではないかと分析している。
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