アクティブユーザー増加を狙った「ラ ロッシュ ポゼ」の事例
セッションの後半で古賀氏は、実際に企業で行われたCRM施策の成功事例を2つ共有した。
1つ目は、日本ロレアルグループの敏感肌向けスキンケアブランド「ラ ロッシュ ポゼ」の事例。これは、売上の拡大に向けてアクティブユーザーを増やすことからアプローチをかけた例だ。同社はECサイトを運営する中で、総会員数は年々増加しているもののアクティブユーザーが横ばいのため、非アクティブ率が上がり続けるという課題を抱えていた。
そこで同社が初めに打ち出したのはメール配信。同社の場合はそれまで一斉配信のメール配信しか行っていなかったため、まずはセグメント別のメール配信からも十分な効果が期待できたのだという。配信するコンテンツの内容で意識したことは「アクティブユーザーの購買データをもとに非アクティブユーザーへのおすすめ商品をピックアップして紹介」「特別オファーでお買い得感を演出」の2点だ。
以上を3ヵ月実施したところ、メール開封率は約21%、CVRは約5%と、開封率もCVRも通常配信のメールと同等のスコアだった。
とはいえ、この段階では8割近くがメールを閲覧していない。そこで次に行ったのがデジタル広告だ。メールを閲覧していない非アクティブユーザーに向けデジタル広告を配信したところ、クリック率約3.5%、CVR約5%という結果となった。
「メールを読んでいない非アクティブユーザーから狙い通り、広告を通して購入してもらえました。また、通常のリターゲティング広告よりも、10%低いCPAで獲得できたので、効率という面でも良い結果が出ました」(古賀氏)
メールとデジタル広告の2つの施策を実施した結果、2016年7月~2017年7月にかけ、アクティブ率は2%改善した。「会員数が伸びている中での2%という数値は、売上に換算するとインパクトある結果となりました。クライアントからは、チャネルを重複させることなく、セグメント別にコミュニケーションできた点もご評価いただいたポイントです」(古賀氏)
ユーザー購入頻度の向上から売上拡大 「ダブルエー」の事例
2つ目の事例は、「Oriental Traffic」をはじめとするレディースシューズの製造販売を行うダブルエーが、ECにおける購入頻度の増加に向け実施した取り組みだ。
同社では、メール経由の売上が全体の約20%を占め、開封率は平均30%ほどと、メールは既に売上貢献度の高いコミュニケーションチャネルであった。そこで売上をさらに高めていくための施策を考える。
CRMデータを活用する方向性で考察するが、ダブルエーが保有しているCRMデータは、EC会員(約6万件)と店舗会員(約15万件)の2つ。これらのデータはオンラインとオフラインで分断されており、多くのデータをもっていても活用しきれていないという問題点があった。
そこで購入頻度を増やしていくために取り組んだのが、夏のセール時期に合わせ、EC会員・店舗会員に対し、セール情報という強いコンテンツをメールと広告を使って配信するというもの。EC会員へはECでの再購入を促進、店舗会員にはECへの送客を促す施策に取り組んだ。
施策の要となったのは、「Facebookコレクション広告」の活用。メインビジュアルとその下に関連する商品画像4枚が組み合わさった広告フォーマットになっていて、クリックするとFacebook内で商品の説明と価格が確認できるというものだ。
「コレクション広告で訴求したのは、CRMデータからオンラインでアプローチできるECサイトのユーザーです。Facebook内をウィンドウショッピングのような感覚で回覧できるよう、コミュニケーションを展開しました。バナーから直接サイトに遷移しサイト内を回覧してもらうよりも、ページ遷移数を減らし、離脱を避けられると考えたのです」(古賀氏)
約1ヵ月の間施策を実施し、EC会員からは213件の購買数、ROAS(費用対効果)は807%と他の広告比べてとても高い結果に。店舗会員に関しては、33件の購買数、ROASは396%となり、ECでの夏セール施策は昨年比で売上160%を達成した。
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