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有園が訊く!

データとクリエイティブは表裏一体  “個”を捉えられる世界では何ができるのか

キャンペーン前後の調査では個人は追えない

有園:郡司さんは「What to say」がおもしろいタイプだったから、個人の反応をずっと知りたかったわけですね。今までは、ターゲティング時のサンプル調査やグループインタビュー、あるいは広告出稿後の反応調査もいろいろありますが、特定の人の“瞬間”を捉えるというのは難しかった。でもそれが、今はできつつある。

郡司:そう。「What」の確率を上げたいと考えていました。もっというと個人の背景まで踏まえて「だから今このタイミングでこの人に響いたんだ」というような「響いた理由」を知りたいし、再現したい。そうすると、属性や購買、行動などから個人に迫るには絶対データが必要で重要だから、デジタルがおもしろいと思った……といったことをデータサイエンティストを目指す学生さんには話したんです。

有園:今のお話には、たくさんのヒントがありますね。まず調査分析を行っている立場からすると、たとえばキャンペーン前後でターゲットの「関東在住20代女性」の調査をいくらやっても、一人を追いかけているわけじゃないから限界があったと。

岡本:プロファイリングをいくら絞ってブランドリフトや態度変容を調べても、結局、ターゲットを漠として捉えた結果になってしまうわけですね。プランニング時のセグメントと、表現が届いたときのセグメントが違うという構造になっている。

郡司:ただ、ここへきてソーシャルメディアでそのあたりの補完ができるかも、と感じています。ソーシャルには個人の背景や動機が色濃く表れますし、特に写真で商品をアップしていれば購買がわかる、POS以外の情報源にもなる。ソーシャルは生活者の生の反応がリアルタイムで見える点が重宝されてきましたが、これが顧客IDとつながれば、マスではなく個人のインサイトやそれと行動の関係などがより深く読みとれるわけです。ここの紐付けは、今後の大きな課題ですね。

ソーシャルメディア活用は第二のフェーズへ

岡本:なるほど。今、スマホの普及でcookieが徐々に使いづらくなり、メールのパーミッションをOKしない人が増えていることを考えても、ソーシャルに可能性がありそうですね。実はデータベースマーケティングの立場だと、ソーシャルのあたりがちょうど壁というか、苦手になるんです。“個”が捉えられないので。それが、今のお話で腑に落ちました。

有園:ソーシャル活用も次のステップへ入っていく感じですね。前提として、マーケターは左側の人を右へ右へと寄せていきたい。たとえばコンテンツマーケティングも、クッキーやソーシャル、スマホアプリあたりの人をコンテンツで右へ動かしていく仕事になると思います。

 そうすると、少し前はチャネルごとのクリエイティブ最適化が有効だという流れもありましたが、岡本さんはたとえばマス広告のトーン&マナーとの統一をどのくらい気にされていますか? ブランドのパーソナリティー、あるいはマス広告の表現に合わせたほうが効果が高い?

岡本:それを検証したことはないですが、実感値では、今のところ結果に表れてはいません。当然、企業からのオリエン時にブランドのトンマナに関する情報や、他のキャンペーンも把握して意識はしますが、実際にできてくるクリエイティブはやはりCV重視になります。そもそも大手企業の場合は内部の対応部署が違うので、統一を強く求められることも少ない。

 ただ、数値に表れない部分で「えっこのブランドからこんな安売りメールが来るの?」というイメージダウンは実際に起きているので、販促部門にもブランディングの意識が必要になると思います。

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マーコム全体にデータが浸透してきている

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/11/02 11:00 https://markezine.jp/article/detail/27292

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