SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第113号(2025年5月号)
特集「“テレビ”はどうなる?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

有園が訊く!

AIが購買行動に介入する時代、ダイレクトマーケティングはどう変わる?【加藤公一レオ×有園雄一対談】

 生成AIの発展によって急速に変化しているマーケティング業界。日本のダイレクトマーケティング市場の発展を支えてきた売れるネット広告社グループは、AIを活用したサービスを次々と開発し、D2C企業に提供している。2023年10月には東京証券取引所のグロース市場に上場。そんな同社が描く今後の成長戦略とは何だろうか。Microsoft Advertisingの事業責任者を務める有園雄一氏が、同社の代表取締役社長CEO、加藤公一レオ氏と対談。今後のダイレクトマーケティングの変化や、AI戦略について話を聞いた。

「買うAI」の普及を見据えた戦略

有園:AIの時代になり、デジタルマーケティング、特に広告配信を取り巻く環境は大きく変わっています。その状況をどう見ていますか。売れるネット広告社の戦略について教えてください。

加藤:我々はダイレクトマーケティング支援を手掛けており、ブランディングを目的としたイメージ広告などは一切取り扱っていません。また、クライアントもほとんどがD2Cの企業。「売ってなんぼ」の世界です。

 そのため、その領域で活用できるAIツールを開発しています。その一つが、AIコールセンターです。コールセンター業務を人からAIに置き換えることで、コストを下げられますし、24時間対応も可能になります。また、ランディングページ(LP)や記事型広告の自動生成ツールなど、様々なAIサービスをどんどん開発しているところです。

 そして今、「買うAI」の普及を見据えたサービスの開発に着手しています。また、ライブコマースにも力を入れていきます。

売れるネット広告社グループ 代表取締役社長 CEO 兼 売れるネット広告社 代表取締役社長 CEO 加藤公一レオ氏
売れるネット広告社グループ 代表取締役社長 CEO 兼
売れるネット広告社 代表取締役社長 CEO 加藤公一レオ氏

購買プロセスに介入する「買うAI」と「売るAI」

有園:「買うAI」とはどのようなものですか。

加藤:消費者が購買プロセスをAIエージェントに任せるサービスのことです。たとえば、「自分が生まれた年の時計が欲しい」とAIに伝えると、商品を探して候補を出し、購入までしてくれるようになるでしょう。それに対して、企業側が販売やマーケティングを最適化するためのAIエージェントを「売るAI」と呼んでおり、こちらも発展しています。

 将来的には、消費者の依頼を受けた「買うAI」が、ブランド側の「売るAI」と直接交渉する。そんなビジネスが生まれるのではないかと考え、研究しています。

 新しい概念として、AEO(AI Engine Optimization)という言葉も登場しています。SEO(Search Engine Optimization)は自社サイトを検索結果の上位に表示させる施策でしたが、AEOは自社商品がAIエージェントによって選定、推奨される可能性を最大化することが目的です。そのために、様々なデータを最適化する施策が重要になります。

 その施策をサポートするため、AEO支援サービス「売れるAI最適化 for ChatGPTショッピング」をリリースしました。AIに読み込まれやすいEC基盤の構築などを支援していきます。当社はこの領域にいち早く取り組み、ダイレクトマーケティング業界では日本で最も新しい施策を進めていくことで、会社の価値を高めていこうと考えています。

次のページ
AEOは未成熟、発展に期待

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
有園が訊く!連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。

地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2025/06/13 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49114

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング