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有園が訊く!

「常に危機感をもっている」NASDAQ上場のTNLメディアジーン・今田氏に聞く、メディアの責務と展望

 「ビジネス インサイダー ジャパン」「ギズモード・ジャパン」などを運営するメディアジーンは2023年、台湾のメディア企業TNLと経営統合し、「TNLメディアジーン」を発足させた。2024年12月には米NASDAQ市場に上場。グローバルを舞台に新たな歩みを進めている。今回は、Microsoft Advertisingの事業責任者を務める有園雄一氏が、TNLメディアジーンの社長・COOであり、メディアジーンの代表取締役CEOの今田素子氏と対談。今後目指していくメディアの在り方や、メディア企業としての責務について、話を聞いた。

サステナブルな成長を目指して上場

有園:以前から、本連載で今田さんとお話ししたいと思っていたので、TNLメディアジーンの上場のタイミングでお声がけしました。本日は、今田さんのメディアビジネスへの思いをお聞きします。まずは、上場の背景から教えてください。

今田:テクノロジーで世の中がどんどんアップデートされる中で、メディア企業が単体で生き残るのが難しい時代になりました。メディアを運営するために様々な収益モデルを考え、実践しなければならないため、1社だとコストに見合わなくなってきています。

 欧米ではメディアの再編・統合が常に起きていますが、日本はまだ固定化されています。どうすればスケールを大きくして成長を続けられるか、ずっと考えていました。

 その方法の一つが、台湾のメディア企業との統合です。TNLと一緒になることでスケールメリットを出せますし、これを足掛かりにして海外に進出できると考えました。そして、海外のメディア企業やテック企業とグループを形成し、メディアビジネスをサステナブルに成長させていく手段として、上場による資金調達に踏み切りました。ようやくスタート地点に立ったと思っています。

メディアジーン 代表取締役 CEO、共同創業者/インフォバーン 共同創業者 今田 素子氏

TNLメディアジーン 社長・COO/メディアジーン 代表取締役 CEO 今田素子氏

読者目線を大事に、信頼されるメディアでありたい

有園:これから目指していくメディアの在り方とは、どのようなものですか。

今田:信頼されるメディアであり続けたいと考えています。そのためには、ビジネスをしっかりと回していくことが必要です。読者の目線を大事にして情報を届けていくために何ができるか、常に考えています。

有園:私も記事を書くので、「読者目線」は意外に難しいと実感しています。どのようなことを心掛けているのですか。

今田:「知っていることを教えてあげる」という態度で一方的に情報を伝えるのではなく、もっと読者と同じように物事を捉えて伝えるようにする、ということです。それをずっと大事にしています。

有園:そういうスタンスはこれからも変わらないのですね。一方で、サステナブルに経営していくためにグローバルで事業を大きくしていく、ということでしたが、メディアが生き残っていくためにはグループ化が有効なのでしょうか。

今田:ビジネスの方法論を共有できる意味でも有効だと思います。再現性が高くなり、効果的な方法を繰り返していくことができます。スケーラビリティのメリットはそこにあると思います。

 ただ、メディアの数を増やすことが目的ではありません。当社が運営するのは、読者の興味・関心に基づいて丁寧に情報を伝えるメディアであり、規模がものすごく大きくなることはありません。だからこそ、ベースとなる仕組みを共通化しないと生き残れないのです。

 また、テクノロジーの進化や読者の視聴態度の変化に合わせてアップデートしていく必要があるため、最新情報を得ることが必要です。その意味でも、海外で事業展開することは重要です。これまでは海外メディアのライセンスを買ってきましたが、これからは自ら外に出ていきたいと考えています。AIの進化によって、言語の壁も乗り越えやすくなりました。AIをチャンスと捉えて挑戦していきたいです。

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常に危機感をもっている

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。

地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2025/03/04 08:00 https://markezine.jp/article/detail/47943

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