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使われるレポート、作れていますか? 改善案を議論できるレポートの作り方を学ぶ講座

 数字を集計しただけのレポートは使われず、評価もされません。では、改善に役立つレポートはどうやって作成すればいいのでしょうか。MarkeZine Academyの「Googleアナリティクスレポート作成実践講座」で講師を務める小川卓さん(HAPPY ANALYTICS)は、レポートは自動化で効率よく作ってしまい、分析して改善案を考えることに時間を使うべきだと話します。

Googleアナリティクスレポート作成実践講座

モニタリングレポートと改善提案レポート

――小川さんは「Googleアナリティクスレポート作成実践講座 ~自動化で効率UP&伝わる提案&報告レポート作成術~」の講師をされていますが、これはどういった内容の講座なのでしょうか。

小川:まず、レポートには2種類あります。一つは、健康診断に近いモニタリングレポート(定型レポート)です。毎週や毎月、決まったタイミングで提出するもので上司やサイト責任者、クライアントへ状況を報告する意味合いが強いですね。

 もう一つが改善提案レポートです。コンサルティングの案件など、スポットとして作成する場合が多いかもしれません。サイトを分析して改善案を提案するためのレポートですね。

 この講座では、この2種類のレポートの作成と活用の方法をお伝えします。なぜレポートを作成するのかといったところから、事例も参考にしながら、明日から使えるような実践的な内容となっています。

――基本的なことですが、それぞれのレポートにはどういう役割があるのでしょうか。

小川:モニタリングレポートは、基本的には振り返りに用いられます。以前行った施策のうち、どれがよくて、あるいは悪かったのかを明らかにし、それを踏まえて次の施策を考えます。前月のキャンペーンで目標よりも売上が伸びなかった、それはなぜなのか。その原因を突き止めてから、よりよいキャンペーンを来月行うという流れになります。

 あるいは、会社のビジネスゴールに対して現在地を確認する、まさに健康診断の役割もあります。モニタリングレポートによって期限までにゴールを達成できなさそうだとわかれば、深刻な事態に陥る前に対策が打てるようになります。

 最もやってはいけないのは、達成期限を迎えてからレポートを出すことです。売上目標500万円に対して400万円で未達だった、と期限が過ぎてから言われてもどうしようもありません。そうならないために、モニタリングレポートを作成するんです。

 改善提案レポートは文字どおり、サイトを改善するためにすべき施策を洗い出して実行するためのものです。サイトをリニューアルする前に、外せないポイントをまとめてほしいといった要望で作成することもあるでしょう。

 どちらのレポートにせよ、どんな目的で作成するのかはしっかり決めておかないといけませんね。

小川卓さん

小川卓さん:HAPPY ANALYTICS 代表取締役社長

目標設定のないレポートは意味がない

――特にモニタリングレポートでは、レポートを作成して提出するだけの場合がけっこうありそうです。

小川:多いと思います。これは本当に意味がないですね。とりあえず作り始めたレポートを、何に使われているのかはわからないまま作り続けてしまっている場合があるでしょう。数字だけが延々追加されていって、でも誰も見ていない。まずはそこから脱却しないといけません。これは社内で作成しているレポート、代理店などに作成してもらっているレポートどちらもです。

 まず、目標設定のないレポートは意味がないんです。KPIを設定できていない状況でレポートを作っても、出てきた数字に対してどうすることもできませんよね。ただ事実が並んでいるだけです。

 また、使われないレポートには数字だけしか載っていないという特徴があります。数字自体は重要ではなく、そこから得られる気づきと改善案が大事なんですね。それらは数字を並べたり、単に見たりしているだけでは出てきません。ましてや、自分でデータ分析をしていない人が数字の羅列に意味を見出すのは難しいものです。

 モニタリングレポートでとりわけ無視されがちな数字は、前回と変わっていない数字です。「前月と今月の売上は同じです」と言われても何も起きません。ですが、もし売上を上げるための施策をやっていたとしたら、前月と同じなのは問題があります。ただ、その数字だけ報告しても、施策をやったかどうかに気づきにくいんです。

 ですので、本来は数字と施策スケジュールがセットになったレポートを作るべきです。この日に施策を行った、だからその日以降は数字が上がるべきだが、上がっていない。それはなぜだろう、と議論が進んでいきます。

 ところが、数字のレポートと施策スケジュールを別々に管理している会社が少なくありません。そのため、数字が変わらなかったときにそれが問題なのかそうではないのか、判断できないんですね。

 レポートを報告する方法もいろいろ工夫するポイントがあります。例えば、会議で報告するときは30分のうち15分で数字の説明を終え、残りの15分で改善につなげる議論をしないといけません。最初に議題を提示して、それに関する数字を説明し、そこから改善案を考え実行に移すのが大事ですね。

 講座ではレポートの作成方法だけでなく、こうしたレポートの伝え方や資料の構成、グラフの作り方についても詳しく説明しています。

価値ある人材になるためのレポート作成

――レポートの作成というと数字を集計する仕事というイメージがありますが、作成者が分析もやって、改善案も考えたほうがいいのでしょうか。

小川:仕事としてレポート作成だけが担当だという方もいるかもしれませんが、成長したいと考えるなら改善案を考えることが必須だと思います。作るだけなら事務作業でほとんど自動化できますが、それを提出するだけだと見てもらえず、意義のある仕事だとは言いづらいでしょう。しかし、改善案まで考えることで、見てもらえるレポートになります。そして自身も成長し、価値ある人材になることができます。

 だからこそ、レポート作成は最大限に効率化し、気づきを得るための時間を作らないといけません。講座では自動化のためのツールも説明していますが、効率化が目的なのではなく、分析の時間を作るためなんですね。改善案までは考えられなくても、少なくとも気づきを得られるレポートを作ることが大事です。

 受講者にはレポートを受け取る側の方もいらっしゃいます。提出されるレポートが全然使えないと不満があるようです。どうすれば使えるレポートを作れるようになるのか、会社によっては受け取る側が学び、作る側に教えているようですね。

 とはいえ、もちろん受講者はレポートを作っている方だけでなく、レポート作成のビジネスを行っている方もいます。そういう方にとって、使われるレポートを作ることは死活問題です。使われないレポートを作っていたら契約が切られてしまいますから。また、クライアントと長い付き合いとするためにも、レポートを作って終わりではなく、改善案を考えて実行し、成果を出すところまでできる必要があるんです。それは社内でレポートを作るときも同様です。

本当に使えるレポートを作る

――この講座を受けたあと、まずはどんなことをしてもらいたいですか?

小川自分で提出しているレポートや、受け取っているレポートを見直してもらうことです。それで今のレポートがいまいちだとわかったら、次からレポート自体を改善してもらえればと思います。そのためのヒントを提供するつもりです。

 これから担当者となってレポートを作成しなければならない人なら、最初から改善案まで考えることを意識して取り組んでもらいたいですね。

 レポート自体は誰でも作れても、それが本当に使えるレポートかどうかは作成者の差が大きく出ます。きちんと作成方法を学び、伝える技術を知ることがいいレポートへとつながります。

講座をチェック

Googleアナリティクスレポート作成実践講座

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この記事の著者

渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)

 翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/12/07 07:00 https://markezine.jp/article/detail/27476

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