メディアの存在意義とは何か?
電通総研は、12月11日(火)、「メディアは何のために存在しているのか?ソートリーダーとメディアの未来を考える」と題した電通総研オープンラウンドテーブルを開催した。電通総研の15名のフェローに加え、北海道テレビ 取締役相談役の樋泉実氏、スマートニュース フェローの藤村厚夫氏をゲストフェローに迎えた。また聴講者にはデジタル、マスメディア、広告企業、パブリッシャーまで広く関係者が集った。開催に際し、電通 社長執行役員の山本敏博氏は、今日の議論への意気込みを語った。
「今日のテーマは『メディアは何のために存在するのか』です。おそろしく壮大なテーマで、その問いは哲学的でもあります。電通総研の今年度の集大成ともいうべき本日の濃い議論に、結論が出ても出なくても、私自身もオーディエンスの一人として参加します」(山本氏)
そして電通総研 所長の丸岡吉人氏が質問を投げかけ、口火を切った。
「メディアを巡る環境は大きく変化しており、これからの時代に、これまでと同様の仕組みや考え方でメディアビジネスを展開し、メディアの価値や信頼性を担保することは難しくなっています。それは、マスメディアに限らず、ネットメディアも同じです。
これからのメディアは、どのような形で自らの存在価値を定義し、メディアとしての活動を維持継続し、人々の信頼を勝ち得ていけばいいのでしょうか。メディアの存在意義とは何なのかを、みなさんと考えていきます」(丸岡氏)
地域メディアの立場で、デジタルを放送の味方につける
第一部では、ゲストフェローの樋泉実氏から、北海道テレビ放送の取り組みが紹介された。
「この四半世紀にわたって、我々は地域メディアの立場で、放送がデジタル化を味方につけて何ができるか、ずっと格闘し続けてきました。そこから見えてきたものや実感したことを紹介したいと思います」(樋泉氏)
実は20年以上前から、北海道テレビ放送はアジアをはじめとした海外への情報発信に取り組んできた。同様にデータ放送の取り組みも、20年になるという。その一方で、地域課題に向き合う番組「医TV」などを制作してきた取り組みが紹介された。
「私たちは放送局ではなく、地域メディアだと自らを認識しています。放送としてはエリア内ですが、ネットであろうと、国境を越えた海外であろうと、コンテンツの出口は問いません。その表現力を使って、ネットの力を十分に借りながら、様々な届け先へコンテンツを伝えていきます。またネットの情報空間になる中で、生活者が強く求めているのは信頼性がある安全・安心な情報だと、強く実感しています」(樋泉氏)