御茶ノ水ソラシティ・カンファレンスセンターにて、MarkeZine Day 2019 Springが始まった。小雨のちらつく中、集まった数多くのマーケターの熱気で会場はいっぱいになっている。
オープニングを飾るセッションは、サントリーコミュニケーションズの室元隆志氏による「サントリーに学ぶ!デジタル未経験の社員が次々と活躍する人材づくりと組織のあり方」と、日本電気(NEC)の東海林直子氏による「ABMを前提としたオウンドメディアによるデマンドジェネレーション戦略」だ。
デジタル未体験の社員が次々と活躍する人材づくりと組織のあり方
サントリーコミュニケーションズの室元氏は、デジタル部署を拡大させてきた自身の経験から、人材育成に必要な要素を説明。 デジタルの世界は、フローが確立されているアナログと比べ、パートナー会社に「丸投げ」できずに手間がかかることに加え、社内調整の負荷が大きい。このため、部署内・他部門に対し、やろうとしていることを端的に説明できる「ビジネススキル」が重要だと強調した。
また、他部門のデジタル人材育成にも言及し「初期の企画が『マス思考』では、後からデジタルを継ぎ足しても成果が出ない」との理由から、営業部門から着手し、ブランドマネージャーへの研修にも取り組んでいると明かした。
ABMを前提としたオウンドメディアによるデマンドジェネレーション戦略
次にNEC(日本電気)の東海林氏による講演を紹介していこう。NECは、2013年に社会価値創造型企業への変革を宣言。社会課題の解決を成長機会と捉え、新たなビジネスモデルの確立を目指すなかで、ICTによる社会インフラ高度化事業に経営資源を集中することになった。
以後、「デジタルトランスフォーメーション」をキーワードに、共創のパートナーとなる新規顧客とのつながりを強化している。かつてのNECはITベンダーとして認識され、情報システム・IT部門が主な顧客だった。しかし、「共創のパートナー」はあらゆる領域の事業部門にいる。そこで、顧客データベースを再構築し、あらゆるタッチポイントで一貫したメッセージを届ける必要があったと東海林氏は語る。
NECでは、2004年からオウンドメディア『wisdom』を基軸に会員データベースを構築してきた。同時に、インサイドセールスの強化にも取り組んできたが、リードをパスしても営業(フィールドセールス)に活かせないという課題があった。
そのため、各種ツールを連携活用することでアノニマス(顔の見えない匿名の見込み顧客)を顕在化し、リード創出からホットリードの引き渡しまでデータをつなげてナーチャリングを進めているという。東海林氏は、「『顧客に寄り添い、かつ少し先に行く』マーケティングを行い、その中で共創パートナーを見つけていきます」と展望を語った。
いずれのセッションも詳細レポートを後日公開予定。