シナリオと雑談を組み合わせて使うことでユーザーの満足度が上がる
ECサイトで利用するとしたら、どのような可能性があるのか。たとえばドコモオンラインショップでは、自然対話エンジン「FAQチャットボット」とかたらいを併用し「オンショ子ロイド」として、チャットボットでの対応を行っている。
「自然対話エンジンのみで運用している頃、シナリオから外れた問いかけがあった場合に『わかりません』と回答することが多く起きていました。それを解消するために、かたらいを併用することになったんです。オンラインショップ関連の質問に関してはシナリオで、そこから外れた問いかけにはかたらいが対応しています」(角森さん)
実はチャットボットに対し、「おなかすいた」「ハンバーグ食べたい」といった人間同士で交わす雑談のような話題を振ってくるユーザーは少なくないのだという。ドコモオンラインショップも例外ではなかったが、かたらいを利用することで、「返す返事のシナリオがない」という状況は解消できていると言う。
「チャットボットの本来の役割は、オンラインショップに関する質問に対して適切な回答を返すこと。それ以外の問いかけへの回答は、『わかりません』でも問題はないわけです。しかし、シナリオ外のやりとりが増えてくると、その都度『わかりません』と返すのはいかがなものかと考える担当者の方も少なくないんです。
『ハンバーグ食べたい』に対し『ハンバーグっておいしいよね』と返ってきたら、『次も使おう』と思ってくれるのではないでしょうか。数字では表せない効果が何かしらあり、お客様の気持ちやブランディングにも寄与するのではと考えています。とにかく売るのが目的であれば、シナリオを作り込むほうが効果的だと思います。しかし、実店舗での接客をイメージすると、雑談で和んだり、会話を楽しんでもらってから商品を案内する店員さんも多いですよね。EC事業者の方には、売るためのシナリオをしっかり準備したうえで、お客様と仲良くなるためにかたらいを使う、併用スタイルがオススメです」(大西さん)
かたらいはAPIでリアルなロボットに接続可能、実店舗での活用も想定できる。「かたらいは、ユーザーのことを覚える機能も持っています。複数回来店されるお客様には、『あなたの趣味は◯◯でしたよね。それなら、こちらの商品はいかがですか?』という接客も可能です。かたらいは『あなたの趣味はなんですか?』と直接的な質問をするのでなく、対話の中で自然にその人のことを理解していくため、『言わされた』印象をお客様に与えずに済みます」(角森さん)