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事例&データで深掘り!Instagramマーケティングの現在地(AD)

【インスタマーケの誤解を解消】企画力で成功した意外な商材3つ&最新機能の活用ノウハウを紹介

 Instagramの成長が著しい。日本国内での月間アクティブアカウント数は2,900万(2018年9月時点)を突破し、利用者層も広がっている。実はマーケティングにおいても、かつては想像できなかった活用方法が次々と生まれている。今回はテテマーチの松重氏、三島氏を招き、フェイスブック ジャパンの田野崎氏とともにInstagramマーケティングの「4つの誤解」を解消していく。

(左)テテマーチ株式会社 取締役 COO 松重 秀平氏(中央)テテマーチ株式会社 SNSマーケティング本部 本部長 三島 悠太氏(右)フェイスブックジャパン株式会社 執行役員 営業本部長 田野崎 亮太氏
(左)テテマーチ株式会社 取締役 COO 松重 秀平氏
(中央)テテマーチ株式会社 SNSマーケティング本部 本部長 三島 悠太氏
(右)フェイスブック ジャパン株式会社 執行役員 営業本部長 田野崎 亮太氏

工夫次第でどんな商材も可能!? オールマイティ化するインスタマーケ

誤解その1:マーケティングにInstagramを活用できるのは、女性向けの華やかな商材だけ

――今回はInstagramのマーケティング活用に関する思い込みを解消すべく、Instagramマーケティングの支援事業を展開されているテテマーチの松重さんと三島さん、フェイスブック ジャパンでFacebookとInstagramを活用したマーケティング支援を統括されている田野崎さんにお話を聞かせていただきます。

 まずは1つ目の誤解について、Instagramは化粧品やアパレルなど、女性向けの華やかな商材で活用するものだとイメージされている方が多いと思います。実際のところはどうなのでしょうか。

松重:まったくそんなことはありません。一見Instagramと親和性の低そうな商材でも、切り口次第でいくらでも展開できます

 たとえば、当社では以前マスクのプロモーションを行ったことがあります。マスクって、普通Instagramには投稿しないですよね。ご相談いただいたときは「どうしようかな……」と思いましたが、パッケージに犬がプリントされていたことから、ターゲットを犬好きに絞り「愛犬家に愛されるマスク」として売り出すことにしたのです。

「パケわんグランプリ」のイメージ
「パケわんグランプリ」のイメージ

 具体的には、「パケわんグランプリ」というキャンペーンを開催し、専用ハッシュタグを付けて飼い犬の写真を投稿してもらうよう呼びかけました。グランプリに選ばれた写真は、その後の商品パッケージ写真として採用されます。

「パケわんグランプリ」の店頭発売パッケージ
「パケわんグランプリ」の店頭発売パッケージ

 また、SNS上だけで盛り上がるのではなく、リアル店舗の販売スペースを確保するために店頭発売の限定パッケージも展開しました。当選発表は店頭での販売のみ。投稿者は飼い犬が掲載されているかどうか、店頭に行かないと確認できないわけです。店頭でマスクについて問い合わせる方が増え、需要があると店舗側に認知されることでスペースを確保するという流れを想定していました。

 施策を展開してみると、利用者さん同士で「この店舗にありましたよ」という情報共有が生まれていることがわかりました。実際の購買にもつながったので、キャンペーンとして手ごたえを感じましたね。

ストーリーズで追うべきKPIは、視聴時間ではない?

誤解その2:ストーリーズは視聴時間が短いから活用しづらい

――2つ目の誤解は、ストーリーズに関する内容です。その利用率が伸びていることはよく知られている一方、視聴時間が短いことを不安視するマーケターもいるようです。

田野崎:これは広告運用の現場でもよく相談されます。「視聴完了率が他のメディアと極端に違う。なんとかしないといけない」という話はとても多いです。ただ、動画の視聴を楽しむ場面が多様化している点には注意が必要だと思います。

 そもそもの前提として、ストーリーズは、他のSNSのタイムラインや動画サイトのプリロール、TVCMなどと比べて視聴時間が短い傾向にあります。フルスクリーンで表示されるストーリーズは、次から次へとテンポよく楽しめるところが人気を集めているのです。

各動画広告の視聴方法に見られる特徴(クリックして拡大)(出典:Facebook Business)
各動画広告の視聴方法に見られる特徴(クリックして拡大)(出典:Facebook Business

 しかし、マーケティングの最終的なゴールは売り上げですよね。そう考えると、再生時間や完了率は中間指標に適していません。ですので、広告主の皆様には「ブランドリフトをKPIにしましょう」と提案させていただいています。

 ただ、様々な事情により、「それでも再生時間を伸ばしたい」というニーズはあるでしょう。当社でも継続的に試行錯誤していますが、ストーリーズ広告でもクリエイティブの設計次第で再生時間を伸ばせることもわかってきました。現状では、2つのクリエイティブフォーマットが鍵になると考えています。

(左)「アンケートスタンプ」機能のイメージ(右)ストーリーズカルーセルのイメージ
(左)「アンケートスタンプ」機能のイメージ
(右)ストーリーズカルーセルのイメージ

 1つは、先日リリースした「アンケートスタンプ」機能。ストーリーズ上に2択の質問を設置し、タップするだけで投票できる機能です。人は質問を投げかけられると答えたくなるのか、CTRや視聴完了が向上する事例が見られています。やはり、SNSではインタラクション性の高いクリエイティブが受け入れられるようです。

 もう1つ効果が高かったのは「カルーセル」。1つのストーリーズ広告を複数のカードに分けて掲載可能なフォーマットです。タップをしても次の静止画または動画のチャプターに進むので、再生時間が伸びる傾向にあります。また、カードの仕掛けを使って、より深いブランド理解を促すような仕掛けを加えることで、CTRやCVRなどへの効果も確認されています。

松重:ストーリーズでインプレッションを増やし、UGCを促進するという活用方法もあります。以前、当社で大学生にアンケートを実施したところ、投稿・閲覧ともにストーリーズをよく利用している方が圧倒的に多いことがわかりました。

 こうした傾向を踏まえて、時計メーカーのセイコーさんの事例では、画像の投稿を促すプレゼントキャンペーンをストーリーズで告知してみました。すると、翌日から投稿数が明らかに増えたのです。特に若年層に訴求するときには、ストーリーズの活用が欠かせなくなっています

体験を軸に仕掛けると、オフラインでの集客効果も

誤解その3:Instagramはブランディングには効くけれど、購買にはつながらない

――3つ目の誤解は、Instagramと購買の関係性です。投稿が見られてはいても、そこから本当にアクションにつながるのだろうか、という疑問をお持ちの方は多いようです。

田野崎:実は日本の利用者は、Instagramでかなり能動的に行動を起こしています。たとえば、利用者のうち82%が、製品やサービスに関する投稿を見たあと、検索やフォローなどなんらかのアクションを起こした経験があるというデータがあります。

 Instagramで発見した商品の詳細情報をその場で知りたい、という利用者ニーズに応えるべく、ショッピング機能も充実させています。よりスムーズな購買体験を実現するため、米国ではInstagram上で直接決済できる「チェックアウト」機能の提供も始まりました。将来的には米国外への展開も予定しています。

三島:当社のクライアントの場合、ショッピング機能を利用されるのは化粧品メーカーが多いのですが、保存数が多い投稿ほど、クライアントのサービスサイトに遷移する確率が高いことがわかっています。

 このことから、投稿を見た瞬間に購入するのではなく、一旦保存し、後から確認・検討して購入するケースが一定数あるのではないかと仮説を立てています。また、どのようなものが保存されやすいのかを深掘りしてみると、新作や限定品が多い傾向にありました。

松重:これまでInstagramのプロモーションと言うと、シンプルに商品の見た目をアピールするものが多かったのですが、最近うまくいっているのは、Instagramを通じてなんらかの体験を提供し、購買につなげてもらうパターンです。当社ではコクヨさんの「GLOO(グルー)」という接着用品シリーズのソーシャルプロモーションをお手伝いしました。

「GLOO」のプロモーションイメージ
「GLOO」のプロモーションイメージ

 ハンドメイドマーケット「minne」と共同で、「#貼るってたのしい」コンテストを開催しました。キャンペーンサイトから型紙をダウンロードしてもらい、オリジナルのペーパークラフトを作って投稿してもらう、というものです。Instagramで様々な作品を見せていくことで、キャンペーンサイトへの訪問が増え、サイトで紹介している商品の購買に貢献することができました。

 関連するワークショップも開催しているのですが、リピーターさんが多く集まって下さり、コミュニティが作られつつあります。ビジュアルを通じて体験をシェアできるというInstagramの強みを活用することで、ファンマーケティングにもつなげられるのだと感じています。

 さらにリアル店舗には、「minne」の世界観を店頭ディスプレイで表現しながら商品を売るという方法を提案したところ、販売スペースの確保につながりました。お客様に新鮮さを感じていただける文具の売り方として好評だったようです。コクヨさんにとっても初めての取り組みだったのですが、「メディアとタイアップすることの新しい価値を発見できた」と喜んでいただくことができました。

 このように体験を軸にキャンペーンを設計することで、オンラインだけでなくオフラインでの集客も期待できるんです。

高まる「ポストアド」のニーズ

誤解その4:オーガニック投稿はバズらないから意味がない

――SNSを活用したマーケティングでは、「オーガニックと広告どちらに力を入れるべきか」という議論になることがあります。Instagramは、他のSNSに比べてコンテンツを拡散する機能が少ないため、バズが起きにくい、そのためオーガニックの運用はあまり意味がないのでは? との声が聞かれることもあるのですが……。

田野崎:オーガニックと広告を完全に分けて運用している企業も多いのですが、正直とてももったいないことだと思っています。オーガニックと広告はもちろん、フィード、ストーリーズなど様々なコミュニケーション接点を一気通貫してお客様に何を提供するのかを考えるべきです。

 実際、メルセデス・ベンツやナイキといった、世界的にブランド力がある企業は、チャネルを限定せずInstagram内のあらゆる枠を使って発信しています。広告を使って潜在顧客にリーチしながら、オーガニックでもブランドの世界観を伝えられるようなコンテンツを届けることでファンのコミュニティを拡大させているのです。バズを狙うのはいいのですが、ビジュアルで世界観を伝え、ファンに深く刺さるストーリーを届けられるフォーマットが充実している点にも注目していただきたいです。

――逆に、広告は必ずしも必要ない、と考える企業もいると思います。オーガニックと広告、両方を運用するメリットはどこにあるのでしょうか。

松重:やはり、オーガニックだけではどうしても届かない層が存在します。Instagramのターゲティング精度は非常に高いので、広告を使えば届けたい方に効率的にリーチできます。スピード感をもってグロースさせたいなら、広告も併用するべきだと思いますね。

三島:オーガニックと広告という分類をされがちですが、最近はオーガニック投稿を広告クリエイティブに転用する「ポストアド」のニーズが高まっています。キャンペーンによる刈り取りではなく、純粋にブランド訴求をしたい企業が増えてきているようです。

 オーガニックで反応が良かった投稿をアドに回すと、フォロワーの増加につながりやすく、エンゲージメントも向上します。新しい利用者に良いクリエイティブを提供して、ファンを獲得する。ファンになってもらえれば、キャンペーンの終了後にフォローが解除されてしまう、ということは起こりません。

 この例に限らず、Instagramがプラットフォームとして成熟していくにつれて、目先のフォロワー数や単発のキャンペーン結果だけを見るのではなく、本質的な運用をされる企業が増えてきていると感じます。

――Instagramマーケティングの最前線を理解することができました。今日はありがとうございました。

インタビューで話題になっていたストーリーズのマーケティング活用ノウハウは、Instagramのブログで紹介されています。詳しく知りたい方はこちらから!

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この記事の著者

水落 絵理香(ミズオチ エリカ)

フリーライター。CMSの新規営業、マーケティング系メディアのライター・編集を経て独立。関心領域はWebマーケティング、サイバーセキュリティ、AI・VR・ARなどの最新テクノロジー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/05/13 11:22 https://markezine.jp/article/detail/30870