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花王廣澤氏が若手視点で聞く、これまでとこれからのマーケティング

若手に知って欲しい、真の「成長」とは?【花王廣澤氏×ムーンショット菅原氏対談】

事業成長に欠かせない視点とは

廣澤:次は、事業の成長についてうかがいます。マーケターないしビジネスパーソンは様々な数値目標を持っています。しかし、たとえば「2019年は前年比105%の売上目標」と言われたとき、「なぜ105%か?」を考えていない気がするんです。

菅原:確かに「会社が決めたことだから」と、素直に受け止めている方も多いと思いますが、それではいけません。もし市場がマイナス5%成長だとしたら、自社の事業だけ105%成長できる根拠はありません。

 数値目標を達成する難易度や妥当性に合意できていない組織では、目標達成や成長はできないでしょう。そもそも、マネジメント層と現場の間に、難易度に対する意識のズレが存在しているのかもしれません。

 ですから、納得するまで市場調査をし、自分たちは何ができるかを考え、上司とコミュニケーションをとるべきです。そうすることで別案が出せたり、予算・目標を見直せたりと、目標達成に近づくと思います。

廣澤:現場から目標について問いかけてみるというのが重要なのですね。その際はただ「できません」と言うのではなく、105%達成の妥当性を示すか、もしくは目標を根拠とともに変えるといった逆提案をすれば良いのでしょうか。

菅原:数字を修正するというよりは、難易度を軸に目標を達成する方法を提案したほうがいいですね。目標105%に対して、現状では80%くらいで着地しそうと思ったら、105%を達成するために何が必要かを説明する。このぐらいの予算、体制が必要ですと、自身の感覚で話をしてみるんです。

 私は現場の方に、自分なりの実感値を持つことをお勧めしています。仕事とは、自分の限界にチャレンジして会社を成長させること。「できる」と実感したのなら、目標数値より上の数値を提案してもいいんです。

社会と企業のズレをチューニングする

廣澤:少し話は変わりますが、菅原さんが事業の成長を支援するとき、どんなことを意識していますか。

菅原:「企業は10倍成長できる」を前提に、成長を阻害する病を見つけて取り除くという考えで支援しています。企業がコントロールできることは、お金と人と物だけです。お金が人を雇い、人が物を作り、物が次のお金を運んでくる流れの中で、「何が成長を阻んでいるのか」と考え、課題を見つけるところから入ります。

廣澤:菅原さんが特に重視している、問題視しているものとしてはどんな課題があるのでしょうか。

菅原:2つあって、ひとつは、社会とのズレです。現在に生きる私たちが100年前の社会と合わないように、企業の中には社会の変化の速さについていけず、社会とズレが生じているところも多い。僕の仕事は、社会の変化と企業の立ち位置のチューニングとも言えますね。

 もうひとつは、一部のマーケターがいまだに売ったら終わりという感覚を持っていること。顧客との関係というのは、買った後に始まるものです。使用感とその効果、期待値通りかの確認はもちろんですが、もし合わなくてもリセールできる価値があるかなど、購入後までケアしているブランドは少ないと思います。

 もし今後、購入後も心地よい顧客関係を築けるブランドが出てくると、既存ブランドは太刀打ちできなくなると思います。

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本当に成長したければ、産業の成長も考えよ

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/06/03 09:00 https://markezine.jp/article/detail/30909

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