スマートスピーカーの普及にともない、音声検索が急増
Google HomeやAmazon Alexa、iPhoneのSiri。今、音声アシスタント機能を持つスマートデバイスやスマートフォンの普及が急速に進んでいます。特にアメリカでは、スマートスピーカーの所有者が2018年から40%増の6,640万人に達しており、成人の26.2%、実に4人に1人が1台以上のスマートスピーカーを所有していると言われています。
こうした背景から、今アメリカでは、「音声検索のSEO(Voice Search Optimization)」への関心が高まりつつあります。本稿では、アメリカにおける音声検索の現状や将来予測を具体的な数値データとともに紹介するとともに、既にアメリカで進められている音声検索SEOについて、具体的なアプローチ手法を解説します。
2020年には全検索の50%が音声に⁉ 急速に増える音声検索
Appleの「Siri」やMicrosoftの「Cortana」、Amazonの「Alexa」、Googleの「Google Assistant」など、音声アシスタント機能を持つデバイスの普及にともない急増する音声検索。インターネット調査会社comScoreは、2020年までにインターネット検索の50%が音声検索になると予測しているほか(出典:Just say it: The future of search is voice and personal digital assistants|campaign)、同じく調査会社のGartnerは2020年までに全検索の30%が画面・スクリーンのないデバイスで行われると予測しています(出典:Gartner Predicts 30% Of Searches Without A Screen In 4 Years|MediaPost)。
また、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が2018年12月に発表した音声検索の利用動向の調査結果から、音声検索がアメリカ人の日常生活に浸透しつつあることがわかります。
アメリカ人1,000名を対象としたこの調査では、回答者の約7割が音声検索や音声アシスタント機能の利用経験があると回答し、特に25歳~49歳の回答者の65%が「少なくとも1日に1回以上、音声検索などのアシスタント機能を利用中」と回答しています。またその多くが「今後、もっと音声アシスタントを使うと思う」と回答しており、音声検索の利用者数や利用頻度は今後ますます増えそうです。
アメリカ人は音声検索で何を調べている?
現時点で音声アシスタント機能の主な利用用途は、天気予報やニュースのチェック、簡単なインターネット検索が中心。音声検索の主なクエリ内容を調べると、ローカル検索(近所の店・レストランの検索など)が多いのが1つの特徴で、また「方法・やり方」や「おすすめ」を検索するユーザーが多いとのこと。英語で言うと「How」や「Best」から始まる検索クエリが多く、たとえばキッチンでレシピを検索したり(How to cook ABC?)、家で近所のレストランを検索したり(Best restaurant near me?)などで音声検索がよく使われています(出典:Voice Search for Local Business Study|BrightLocal)。
音声検索・音声アシスタント機能を通した商品の購買経験はまだ限定的ですが、スマートスピーカー所有者の約1割は毎月「音声で買い物(Voice Shopping)をしている」ヘビーユーザーである、との調査結果もあります。
こうした音声検索・アシスタント経由の商品購入市場規模は、2020年までにアメリカで400億ドル(約4.5兆円)になるとの予測もあり、音声検索の利用シーンも拡大傾向と言えます(出典:Voice Shopping Set to Jump to $40 Billion By 2022, Rising From $2 Billion Today│CISION PR Newswire)。
今後、特にECビジネスにおいては、従来のパソコン・モバイルのテキスト検索が前提のマーケティング戦略やSEO対策に加え、音声検索SEOや音声での商品情報・サービス提供が重要となりそうです。